パルプ化工程におけるスケール対処方法

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タイトル別名
  • Inorganic Scaling in Pulping Operations & Ways to Live with It
  • パルプカ コウテイ ニ オケル スケール タイショ ホウホウ

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説明

無機スケールの蓄積はほぼ全てのパルプ及び製紙工程で起こる現象だが,微量金属イオンが存在し,スケール結晶化が始まるための非常に良い条件が工程内に揃っている為である。スケール問題軽減には木材由来の微量金属を減らすことが重要で,木の品質,原料調整,樹皮除去システムの改良が必要であるが,完全に原料中の原因物質を取り除くことはできない。<br>パルプ漂白工程でのスケールには,炭酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,硫酸バリウム他がある。様々な工程で沈殿したカルシウムは不安定で,後半の漂白工程で溶けたり,再沈殿したりする。スケール問題を減らす為には微量金属の漂白工程での挙動,及び操業条件がスケール成長にどの様に機能するか理解し,調整することが必要である。<br>エバポレーターでは固いスケール(カルシウムによる)と柔らかいスケールが見られ,後者には可溶性ナトリウム塩のバーカイトとジカーボネートがあり,黒液濃縮度他が結晶する物質に影響する。黒液処理量の安定,ボイラーの燃焼灰の取り扱い,蒸気量の制限,トール油レジンの効率的除去,操業条件の安定,がスケール問題軽減につながる。<br>操業要件とスケールを作りにくくする条件は相反しているので,操業条件の調整でスケール発生を全て防ぐことはできないが,スケールに応じた対応を取ることで問題を軽減することは可能で,またスケール防止剤の使用も効果的,経済的な手段となる。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 69 (8), 819-824, 2015

    紙パルプ技術協会

参考文献 (2)*注記

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