紙加工用ポバールの開発

書誌事項

タイトル別名
  • Development of PVOH for Paper Application
  • カミカコウヨウ ポバール ノ カイハツ

この論文をさがす

抄録

ポリビニルアルコール(以下,PVOH)は,親水性かつ結晶性を有する特異な合成高分子であり,紙分野において,紙力増強剤,蛍光白色顔料の分散剤,無機物(炭酸カルシウム,クレー,シリカ等)のバインダーとして使用されている。また,PVOHは造膜性に優れるため,紙に塗布することにより,ガスなどに対するバリア性付与も期待できる。従来,このような紙塗工におけるバリア性付与は,けん化度が低い材料が優れることが知られているが,けん化度を低下させると耐水性が低下するという問題があった。弊社では,バリア性と耐水性を両立させるために,特殊疎水基で変性したPVOHを提案しており,その使用量は年々増加している。例えば,上記の疎水基変性PVOHは,剥離紙分野において,シリコーンの目止め剤として利用されている。また,最近では,FDAの認証も得て,食品包装用耐油紙の耐油性付与剤としても検討され始めている。<br>一方で,これまで,紙に塗工したPVOHの造膜性やバリア性発現の要因については,充分に分かっておらず,経験的なデータしか得られていない。本稿では,PVOHの種類を変えた際の物性を示すと共に,バリア性が発現する要因について,一次構造と基礎物性評価結果から推定を試みた。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 69 (11), 1184-1186, 2015

    紙パルプ技術協会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ