TMP 設備能力増強による電力費削減の取り組み

  • 杉本 武志
    中越パルプ工業株式会社 生産本部 二塚製造部

書誌事項

タイトル別名
  • Reduction Electricity Cost by Enhancing the Capacity of TMP Plant
  • TMP セツビ ノウリョク ゾウキョウ ニ ヨル デンリョクヒ サクゲン ノ トリクミ

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抄録

近年の化石燃料価格の高騰を受け,中越パルプ二塚製造部は微粉炭ボイラを2010年6月に停止し,発電単価の安価なバイオマスボイラ1缶1基運転体制に移行した。その結果,自家発電力はTMP製造設備以外の設備ですべて消費され,TMP製造設備の運転に用いる電力はすべて買電電力を使用する体制となった。<br>TMPの製造には非常に多くの電力が消費され,買電単価の高い平日昼間帯は可能な限りTMP製造設備を停止するよう努めたが,貯蔵能力および生産能力の限界による原料バランスのため,平日昼間帯のTMP製造設備運転は完全には回避できなかった。<br>そこで平日昼間帯TMP製造設備運転の完全回避を図るため,遊休設備を利用したTMP生産能力増強・貯蔵能力増強を実施した。この結果平日昼間帯におけるTMP製造設備の操業を完全に停止できた。このことにより買電の契約電力量は設備増強実施前との比較で50%削減され,電力費のトータルコストが大幅に削減された。<br>停止した中越パルプ二塚微粉炭ボイラは北陸地区最大級の遊休発電設備であったが,東日本大震災後の電力不足による需要に対応し,電力会社への電力供給のために2011年7月より再度稼働することとなった。今回紹介するTMP製造設備能力増強の副次的な効果として,再稼働した微粉炭ボイラの電力のすべてを電力会社に供給することが可能となったため,安定して北陸地区へ電力を供給できる体制が得られている。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 70 (4), 358-362, 2016

    紙パルプ技術協会

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