溶解パルプ製造をベースとしたバイオリファイナリー事業の概要

  • 内田 洋介
    王子ホールディングス株式会社 バイオリソース開発センター

書誌事項

タイトル別名
  • Review of Biorefinery Work Based on the Production of Dissolving Pulp
  • ヨウカイ パルプ セイゾウ オ ベース ト シタ バイオリファイナリー ジギョウ ノ ガイヨウ

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抄録

王子グループでは,事業構造転換の一環として2014年5月より,王子製紙(株)米子工場にて広葉樹溶解パルプの製造,販売およびフルフラールの製造実証試験を実施している。今後,国内での紙需要の縮小が予想される中,世界的な人口増加を背景に,衣服の綿繊維の代替となりえるレーヨン繊維,液晶テレビ等の液晶フィルムの原料となるセルロースアセテート,薬の錠剤の賦形化剤等に使用される微結晶セルロース等の需要増が見込まれ,これらの原料となる溶解パルプの需要増が期待されるためである。<br>溶解パルプの製造方法としては,一般的にサルファイト法(DSP)と前加水分解―クラフト法(DKP)の2種が知られているが,既存の製紙用クラフトパルプ製造設備を最大限に活用するため後者の方法を選択し,前加水分解設備を挿入して溶解パルプを製造している。なお,チップ原料には,持続可能な植林木であるユーカリを用い,前加水分解時に発生するキシラン分解物の有効利用方法として,フルフラールを同時製造する方法についても実証試験を実施している。<br>本発表では,王子製紙(株)米子工場におけるバイオリファイナリー事業として,前加水分解クラフトパルプ化法による溶解パルプ製造と,前加水分解液を用いたフルフラール製造の同時製造の試みについて報告する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 70 (4), 379-382, 2016

    紙パルプ技術協会

参考文献 (1)*注記

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