木材成分の化学を考える

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タイトル別名
  • Chemical Structures and their Properties of Wood Components
  • セミナーPick Up 木材成分の化学を考える
  • セミナー Pick Up モクザイ セイブン ノ カガク オ カンガエル

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抄録

木材成分は,生産生物(樹木)が当該生物自身のある目的のために生産されており,その目的に適した化学構造を有していると考えられる。そのため,“木材成分の化学構造と機能の関係”を解明することは,木材成分の新規な有効利用を図る上で,重要なアプローチの一つである。<BR>本稿では,木材成分の化学構造に関する基礎的な解説と最近の当研究室における木材成分の研究例をご紹介する。<BR>木材は,主要成分(セルロース,ヘミセルロース,リグニン)と副成分(抽出成分)から構成される。セルロースは,結晶構造形成に有利な化学構造(規則正しい構造を有する直鎖状高分子)を有し,優れた細胞壁の構造用材料である。ヘミセルロースは,非晶構造に有利な化学構造(分枝構造,アセチル基の存在など)を有し,細胞壁の三次元構造の構築に大きく関与している。リグニンは,疎水性を有する化学構造(芳香環の存在)を有し,疎水性材料として,維管束(仮道管,道管など)の形成に大きく関与している。抽出成分は,樹種特有の性質(色,香りなど)を決定している成分である。<BR>当研究室では,“木材成分の化学構造と機能の関係”を中心に研究を展開しており,最近では,光電変換性セルロース誘導体の開発,およびリグニン―多糖(セルロース・ヘミセルロース)複合体の分析法(リグニン―多糖複合体の分画法,リグニン主要結合の選択的分解法など)の検討などを行っている。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (10), 1131-1136, 2013

    紙パルプ技術協会

参考文献 (12)*注記

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