ナノフォレストの事業化と用途開発事例

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タイトル別名
  • Commercialization and Application Development Examples of Nanoforest
  • ナノフォレスト ノ ジギョウカ ト ヨウト カイハツ ジレイ

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抄録

<p>近年セルロースをナノサイズにまで解繊したセルロースナノファイバー(CNF)やセルロースナノクリスタルについての研究が盛んに行われている。中越パルプ工業(以下,当社)では,2010年よりCNF研究開発に取り組み,2017年6月に川内工場内においてCNF第一期商業プラントを稼動させた。</p><p>当社では,物理的手法の一つである九州大学大学院の近藤哲男教授が考案した水中対向衝突(Aqueous Counter Collision:ACC)法を採用している。この製造法で製造した当社CNF(商品名:nanoforest)は親水性に加え疎水性サイトを持つユニークなCNFを得ることができる。このほか,処理回数や噴出圧力の調整により得られるCNFの形態を制御できるという特徴,水のみで素材を微細化するため安全性の高い試料を得ることができる。さらに,機械的なせん断力を与えない「マイルドなナノ微細化法」であり,分子量の低下を最小限に抑えることができる。</p><p>用途開発事例として,複合樹脂開発では,分散性向上を実現させ機械強度向上が得られた。今後は強度向上の他,さらなる機能性向上を期待できると考えている。</p><p>樹脂等を併用しない,nanoforestのみからなる成形体の調整にも取り組んでいる。今までは10mm程度の厚みの成形体しか成形できなかったところ,調整条件を検討することにより20mm程度の厚みの成形体を作成することが可能となった。現在は,工業的なプロセスの開発に着手している。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 72 (1), 66-69, 2018

    紙パルプ技術協会

参考文献 (2)*注記

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