騒音・低周波音対策の基礎と事例

  • 青木 雅彦
    日本音響エンジニアリング株式会社 ソリューション事業部

書誌事項

タイトル別名
  • Basic and the Case Study of Low-frequency Noise Countermeasure in a Factory
  • 騒音・低周波音対策の基礎と事例 : 耳で対策効果を実感しよう
  • ソウオン ・ テイシュウハオン タイサク ノ キソ ト ジレイ : ミミ デ タイサク コウカ オ ジッカン シヨウ
  • ―耳で対策効果を実感しよう―
  • -Listen and Feel How We Can Resolve the Noise Problem-

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抄録

<p>騒音・低周波音対策の基本的な考え方を示し,対策の検討と工事事例についても紹介する。</p><p>壁の遮音性能を上げる対策として,グラスウールをガラスクロスで包んだ吸音材を壁に施工することはあまり効果がない。既存の壁の内側にもう一層新しい壁を作り,二重壁とすることで遮音性能を上げることができる。</p><p>窓の遮音性能が低いため,ペアガラスと呼ばれる2枚のガラス間に中間層を設けた複層ガラスは,断熱効果もあるため,遮音性能の改善効果にも期待して使われる場合がある。しかしペアガラスは2枚のガラスとその中空層の影響により,ある特定の周波数で音が抜けやすくなる共鳴透過現象が発生する。</p><p>対策のための基礎知識として,下記がある。</p><p>1) 距 離 減 衰</p><p>音は音源からの距離が2倍になると計算上約6dB減衰する。</p><p>2) 遮 音 対 策</p><p>遮音性能は材料の比重と厚みから推定できる。遮音性能は単位面積あたりの重さに比例し,重さが2倍になると遮音性能は約5dBよくなる。このことは工場の設計段階で壁の仕様を決める場合にも参考になるが,改修の場合は内側に新しい壁を作る二重壁が有効である。</p><p>3) 吸 音 対 策</p><p>吸音対策の効果は吸音材の吸音率,施工面積,室内の寸法等から推定できる。</p><p>4) 防 音 壁</p><p>防音壁の効果は騒音源と評価点の位置関係,防音壁の高さ等によって推定できる。</p><p>5) 固体伝搬音対策</p><p>騒音対策が難しい原因の一つが,この固体伝搬音の見極めである。通常,騒音の発生源からは振動も発生している。この振動が床や地盤を経由して建物に伝わり,騒音として再放射する現象を固体伝搬音と呼ぶ。これに対して騒音が空気中に伝わる現象を空気伝搬音と呼ぶ。この固体伝搬音の対策は一般の騒音対策と異なり,騒音低減のために振動対策が必要となる。したがって,騒音対策を検討する場合,その伝搬経路を検討し,固体伝搬音の影響に注意する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 70 (12), 1239-1243, 2016

    紙パルプ技術協会

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