ATMOS―環境に優しいプレミアムティッシュ

  • 高野 行範
    株式会社IHIフォイトペーパーテクノロジー 製紙機械技術部

書誌事項

タイトル別名
  • ATMOS-The Sustainable Solution for Premium Tissue
  • ATMOS : カンキョウ ニ ヤサシイ プレミアムティッシュ

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抄録

30年以上前から高品質のティッシュに与えられる「プレミアムグレード」と呼称される製品は基本的にTAD方式のみで生産され,大手製紙会社の独壇場である。その理由はTAD方式の設備投資が大きいだけではなく,生産コストも非常に高いからである。<BR>このような市場環境のもとで,ATMOSとはフォイトペーパーのティッシュ・プロセステクノロジーセンターで新たに開発された技術である。TAD方式に比べて設備投資だけでなく,エネルギーコストを必要最小限にすることで全体の生産コストを大きく抑えることが可能である。また使用する原料そのものを削減し,あるいは故紙100%での生産をも可能としている。<BR>ATMOS心臓部のモジュールはフォーマーとヤンキーシリンダーの中間に配置される。地合形成は従来からのクレセントフォーマーで行われるが,ヘッドボックスからの原料は直接凹凸のあるAtmosMaxに吐出されて3次元的な構造を有することになり,そのままヤンキーシリンダーへ転写されるのである。<BR>ATMOSはその原理から品質は使用するAtmosMaxによって左右され,使い分けることで1台の抄紙機で市場から要求される品質の全てをカバーすることができる。ATMOS法とは機械的な開発はほぼ完成してはいるが,ファブリックの開発が進むことでまだ多くの可能性を秘めた技術と言えるのである。<BR>ATMOS技術はその高い柔軟性から欧米の市場とは異なる様相を見せる国内ユーザーの要求を満たすことも十分可能であると考える。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (10), 1127-1130, 2013

    紙パルプ技術協会

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