紙パルプ工場排水中の難分解有機物の特性評価

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  • カミパルプ コウジョウ ハイスイ チュウ ノ ナン ブンカイ ユウキブツ ノ トクセイ ヒョウカ

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抄録

水質汚濁防止法が日本で1972年に施行されてからは,これを始めとする環境規制の取組みにより,排水の品質が向上し,水環境は大きく改善してきている。しかし,閉鎖性海域の一部については総量規制が行われているにも関わらず,COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)を環境基準以下にすることが未達成の場合があり,改善は十分とは言えない。海域だけでなく湖沼でも同様にCODの低減が不十分であり,むしろ漸増の傾向が認められる場合がある。<BR>これらの原因として難分解有機物の蓄積が指摘されている。紙パルプ工場では,排水中の難分解有機物を削減することを目標としている。この目標達成のために,本研究では最初の段階として,排水中の難分解有機物の特性を評価した。<BR>総合排水中の溶存有機物について,疎水性と親水性,酸性と塩基性の特徴で5成分(疎水性酸性,疎水性中性,塩基性,親水性酸性,親水性中性)に分画し,各成分の特性を評価した結果,疎水性酸性成分の中に難分解有機物が含まれることが示された。この疎水性酸性成分の発生源を確認したところ,最大の発生源はクラフトパルプ漂白排水であった。漂白排水については針葉樹(N)材パルプ漂白と広葉樹(L)材パルプ漂白を比較した結果,N材の漂白排水中に疎水性酸性成分が多く含まれ,N材の疎水性酸性成分の分解率が低かった。また,疎水性酸性成分を熱分解GC―MSで解析すると,疎水性酸性成分の主成分はリグニンであることが示された。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (11), 1327-1332, 2013

    紙パルプ技術協会

参考文献 (6)*注記

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