細胞接着剤の調製と応用

  • 寺村 裕治
    東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Design and Application of Cell Glue
  • サイボウ セッチャクザイ ノ チョウセイ ト オウヨウ

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説明

両親媒性高分子に機能性部位(ここでは,粘着ドメインとし作用する機能性部位)を導入した材料は,細胞膜の脂質二重層との弱い疎水性相互作用により細胞表面を修飾できるため,細胞を自在に接着できる細胞接着剤として利用できる.ポリエチレングリコール結合脂質(PEG脂質)へ,短鎖DNA (ssDNA)や膜透過性ペプチド(CPP)を結合させることで,これまでは不可能であった細胞–細胞どうしの接着や細胞–基板間の接着を実現できる.このPEG脂質誘導体は細胞機能を阻害せず,また細胞内部へ取り込まれず,細胞表面上にのみこれらの粘着ドメインを提示できるため,細胞接着剤として有用である.今後,細胞表面工学を応用したこの細胞接着剤は,薬剤のスクリーニングや遺伝子機能解析のハイスループットアッセイのための細胞アレイ作成や1型糖尿病への膵島移植,あるいは再生医療のための三次元組織構築への応用が期待できる.

収録刊行物

  • 高分子論文集

    高分子論文集 75 (2), 103-115, 2018

    公益社団法人 高分子学会

参考文献 (46)*注記

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