きゅう肥,作物残渣の施用が畑作物の根群発達および根の糸状菌フロラに及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Organic Amendment to Upland So{1 as a Conditioner of the Rhizosphere Ecosystem (Part 2) : Effects of Organic Amendment on Rhizosphere Mycoflora as Affecting the Root Development of Upland Crops
  • キュウヒ サクモツ ザンサ ノ セヨウ ガ ハタサクモツ ノ コングン ハッタ

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抄録

第1報できゅう肥や作物残渣の施用が生育初期から作物根の発達を促進し, これが生育促進と増収の重要な要因であると推定した. 本報ではこの効果を根に生息する糸状菌フロラ, および根生長調節物資の一つであるエチレンの生成との関連で調べ, 以下の結果を得た. 1) 生育中期の根の菌糸態糸状菌フロラを作物間, 輪作と連作, 有機物処理区間で比較すると, 菌の種類 (属レベル) や分離頻度は作物や連・輪作によってかなり異なるが, きゅう肥や作物残渣の施用は作物の種類を問わず糸状菌フロラを多様化する傾向がみられた. 2) BRILLOUINの式によって求めた糸状菌フロラの多様性指数と根新鮮重とは, いずれの作物でもおおむね正相関を示し, フロラの多様性が大きい根ほど旺盛な根群発達を示す結果が得られた. 3) 作物の連作耐性や輪作・連作などと根の糸状菌フロラとの関係を検討した. その結果, 作物の連作耐性と糸状菌の種類との間には明らかな関係は認められなかったが, 糸状菌フロラの多様性指数との間に一定の関係が見出された. すなわち, 多様性指数はインゲンマメ≦アズキ<テンサイ, ダイズ<秋播コムギ<ジャガイモの順となり, 連作障害の出やすいマメ類やテンサイに比べ, 連鎖障害の出にくいジャガイモや秋播コムギではフロラが多様性に富み, しかも,連作しても単純化しにくいという結果が得られた. 4) ほ場における有機物分解過程でのエチレン生成を調べた結果, 作物残渣や堆きゅう肥から微量のエチレン (作土気相中1ppm以下/2週間) が生成することが認められ, 根群発達への寄与が示唆された. 5) 以上の結果から, きゅう肥や作物残渣の施用による根群発達の促進には, 根圏微生物相の多様化に伴って相互作用が多元化し, その結果微生物的緩衝力が増大することや, 有機物分解過程で生成される根生長調節物資などが関与しているものと推定された.

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被引用文献 (2)*注記

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