稲わら施用量および施肥条件が生物的窒素固定活性におよぼす影響

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  • Effects of Rice Straw Application on N_2-Fixation in Paddy Soils(3) : Influence of Application of Rice Straw and Fertilizers on Phototrophic N_2-Fixing Activity in Paddy Soils
  • イナワラ シ ヨウリョウ オヨビ セヒ ジョウケン ガ セイブツテキ チッソ

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抄録

湛水土壌に稲わらを施用して光合成微生物の窒素固定活性(ARA)を高める研究の一環として, この光合成微生物のARAが, 水田の管理様式によってどのように影響されるかを明らかにすることを目的とした3種類の実験を行った. まず, 青森県農試の稲わら長期連用試験水田圃場4区(稲わら施用量:0, 300, 600, 900kg/10a)の作土層から採取し, 低温室に半年間保存しておいた土壌試料を実験室内で湛水保温静置した. その結果, 土壌をそのまま保温静置した場合には, いずれの区も同程度の低いARAを示すにすぎなかったが, 稲わらを加えて土壌を保温静置した場合にはARAが0区 < 300kg区 < 600kg区 &lt; 900kg/10a区と増加することが明らかになった. この実験結果は稲わらを長期連用した土壌は稲わら施用量にほぼ比例した"潜在的窒素固定能"を持っており, この潜在的能力の発揮には稲わらを土壌に加える必要があることを示していると考えられた. ついで福島県農試における各種資材連用水田圃場7区(無肥料, 無窒素, 無カリ, 無リン酸, 三要素, 三要素+堆肥, 三要素+堆肥+ケイ酸カルシウム, 三要素+稲わら)の作土0〜1cmの最表層部位を採取後, 直ちにARAを測定した. その結果, 光合成微生物のARAを高める効果はリン酸の施用が最も大きいことが明らかになった. 最後に, 旧農事試験場水田圃場と東大田無農場水田圃場の作土層から採取した土壌試料に稲わらとリン酸を加え, 実験室内で湛水下保温静置してARAを測定した. この実験においても両土壌ともリン酸の施用が光合成微生物のARAを高めることが確かめられた. また可給態リン酸が少ない田無土壌では, リン酸施用効果が特に明瞭であった.

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