植物の銅吸収に及ぼす土壌有機物の影響

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  • Effects of Soil Organic Matter on Copper Uptake by Plants
  • ショクブツ ノ ドウ キュウシュウ ニ オヨボス ドジョウ ユウキブツ ノ エ

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抄録

1. 腐植質火山灰土壌にCu, Znを塩化物の形で風乾土1kg当たり0.001, 0.01, 0.1, 1mmolになるように添加し, イタリアンライグラス(IR), レッドクローバー(RC)を播種生育させ, 2回の刈り取りを行い, 地上部のCu, Zn含量を調べた. Cu添加区では, 2回目に刈り取った植物体中のCu含量は1回目より低下したことから, Cu可給度の低下が示唆された. この傾向はIRよりRCにおいて顕著であり, 植物間差が認められた. Zn添加区では, Cu添加区で観察されたようなZn含量の低下は認められなかった. 栽培後の土俵から腐植酸, フルボ酸画分を抽出しCu, Zn含量を調べた結果, Cuは土壌中全含量の20%以上が腐植酸画分に存在したのに対し, Znは約1%であった. 2. 土耕試験に用いた土壌に吸着処理を行ない, それからCuの吸着した腐植酸(CuHA)を抽出し, それを用いて水耕試験を行った. 0.5 ppmのCuを含むCuHA, CuFDTA, CuCl_2水溶液を用いた水耕試験の結果, IR, RCのCu含量はCuCl_2 区≫CuHA 区> CuEDTAの順となり, 土壌有機物または合成キレート剤の存在によって植物におるCu吸収量は低下した. またRCでは, Cuの供給形態によって根部から地上部へのCuの移行度に差が認められた. 3. 水耕試験の結果から, 腐植酸に吸着されたCuのうち, それから解離したCu < 2+ >が植物によって吸収されると推察された. したがって, 土耕試験で2回目に刈り取った植物体のCu含量が低下したのは, 添加したCuが栽培期間中は土壌有機物によって吸着され, 植物に対する可給度が低下したためと考えられた. また, 1,2の結果から, RC地上部Cu含量はIRよりも根圏のCu存在形態に影響されやすいと考えられた.

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