高CO_2濃度および塩ストレスがトマトの生育、光合成および酸化ストレスに与える影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of elevated CO_2 concentration and salinity stress on biomass production, photosynthesis, and oxidative stress in tomato plants
  • コウ CO2 ノウド オヨビ シオ ストレス ガ トマト ノ セイイク コウゴウセイ オヨビ サンカ ストレス ニ アタエル エイキョウ

この論文をさがす

抄録

塩ストレスは作物生産に深刻な影響を与える因子の一つであり,その対策が求められている.塩ストレスには水ポテンシャルの低下による浸透ストレス,有害イオンの流入によるイオンストレスのほかに,活性酸素種の発生による酸化ストレスを伴うことが知られている.一方,植物が高CO_2環境下で塩ストレスを受けると,気孔の閉鎖に伴う水利用効率の上昇によって,塩ストレスが軽減されることが示唆されている.本研究では,高CO_2環境下で植物に塩ストレスを与えたときの植物の応答について,物質生産や光合成,抗酸化酵素活性などから解明することを主目的とした.トマトにNaCl処理(0および100mM)を与え,同時にCO_2処理(370および1,000μL/L)を行った.処理は2週間行い,乾物重,葉面積,水ポテンシャル,光合成速度,カタラーゼ活性およびAPX活性などを測定した.その結果,個体乾物重は塩添加によって減少したが,この減少は高CO_2濃度処理によって軽減された.カタラーゼ活性は塩添加によって上昇したが,高CO_2処理によって低下した.APX活性も塩添加によって活性が上昇したが,CO_2濃度による影響は認められなかった.光合成速度は塩添加によって低下し,高CO_2濃度によって塩ストレス初期には光合成の低下が抑制されたものの,長期の塩ストレスではCO_2濃度による軽減効果はみられなかった.高CO_2による光合成の上昇がみられなかった要因は,ソース・シンク比が高く,ソースがシンクを上回っていたためである.これらの実験結果より,塩ストレスによる生育阻害が高CO_2濃度により軽減されるためには,ソース活性の上昇だけでなく,シンク活性の上昇も必要であると推定される.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (27)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ