ダイズ培養細胞にNod factorを短時間処理することで転写量が変動した遺伝子の単離

書誌事項

タイトル別名
  • Isolation and aharacterization of genes induced by a short time of treatment with Nod factors in soybean suspension-cultured cells using a PCR-based cDNA subtraction method
  • ダイズ バイヨウ サイボウ ニ Nod factor オ タンジカン ショリスル コト デ テンシャリョウ ガ ヘンドウシタ イデンシ ノ タンリ

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説明

根粒菌が産生する共生シグナル(Nod factor)はマメ科植物細胞に様々な応答を誘導する.本研究に於いてはダイズ培養細胞にNod factorあるいは病原微生物由来エリシターを処理後10分で誘導される各処理区の遺伝子応答をPCRベースのcDNA差し引き法で解析し,エリシターでは誘導されず,Nod factor特異的に転写量を増大させる遺伝子応答を捉えることを試みた.その結果,4種のcDNA(nsc1〜4)を単離した.nsc1とnsc2はダイズ根粒菌USDA110株を接種したダイズ根粒超多着生変異株の根から得られたExpressed Sequence Tag(EST)と高い相同性を持っていた.nsc3はダイズの4CLと高いDNA相同性をもっていた.nsc4はFusalium solaniを接種したダイズ幼植物体から得られたESTであった.Nod factorより特異的に転写量が変動するcDNAクローンとして単離したmRNAが,Nod factor処理10分後のダイズ培養細胞で特異的に転写を増大させるかに関してRT-PCRサザン法による検証した結果,いずれのmRNAもNod factor処理前には存在量が極めて低く,処理10分後の培養細胞に特異的に発現し,エリシター処理では強いレベルの発現はしないことが分かった.Nod factorを投与したダイズ培養細胞における,nsc1〜4に対応するmRNA転写量の経時的推移(10,30,60,90分)の検討を行った結果,nsc1とnsc3に関しては,無処理区の全mRNAにおいて僅かにシグナルが検知された.しかし,全てのクローンでは,Nod factor処理10分後に急激なシグナルの増大が再度観察され,nsc1〜3は10分以後シグナル強度は減少したが,nsc4に関しては30〜60分でシグナルの強度は最大を示しその後減少した.エンレイ種子根下胚軸直下の根基部をハサミで切り分け,Nod factorを処理あるいは無処理のB5培地で30,90,120,240分振とう培養後,根端から2cm(根下部)までと残りの部分(根上部)に切り分け,各部位から全RNAを抽出後,nsc3に対応する4CL遺伝子のmRNA存在量がインタクトな根組織中で,経時的にどのように推移するのか調べた.その結果から,ダイズエンレイの種子根の根上部と根下部の両組織で4CL遺伝子の発現が確認され,特に,根下部組織では元々の4CL遺伝子の構成的な発現量が低いため,Nod factor処理による4CL遺伝子の発現誘導の増大が明瞭に観察された.

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参考文献 (35)*注記

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