十勝地域の未耕地土壌および農耕地土壌におけるリン酸の垂直分布と蓄積量

  • 谷 昌幸
    帯広畜産大学地域環境学研究部門
  • 溝田 千尋
    帯広畜産大学大学院畜産学研究科:(現)株式会社モリタホールディングス技術研究所
  • 八木 哲生
    帯広畜産大学大学院畜産学研究科:(現)北海道立総合研究機構根釧農業試験場
  • 加藤 拓
    帯広畜産大学地域環境学研究部門
  • 小池 正徳
    帯広畜産大学地域環境学研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Vertical distribution and accumulation of phosphate in virgin soils and arable soils of Tokachi district, Hokkaido
  • トカチ チイキ ノ ミコウチ ドジョウ オヨビ ノウコウチ ドジョウ ニ オケル リンサン ノ スイチョク ブンプ ト チクセキリョウ

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説明

本研究では,十勝地域の農耕地,とくに普通畑土壌における肥培管理などが土壌へのリン酸蓄積量とその形態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.畑地および隣接する未耕地において土壌断面調査と試料採取を行い,土壌中の全リン酸含量および各種形態別リン酸含量の垂直分布を調べた.さらに,仮比重および未耕地と農耕地における土壌の層厚差を考慮し,正味のリン酸蓄積量を調べた.1)淡色黒ボク土,厚層黒ボク土,および普通褐色低地土のいずれの農耕地土壌においても,施肥などに由来する余剰リン酸は耕起の影響を受けた表層30〜40cmまでの作土層に蓄積し,物理的に撹拌および混和されることにより作土層全体に比較的均一に分布した.2)未耕地土壌との垂直分布の比較から,黒ボク土では余剰リン酸が下層へ溶脱せず作土層にのみ蓄積し,褐色低地土では一部が下層へ溶脱していると考えられた.3)農耕地における正味のリン酸蓄積量は,黒ボク土で著しく多く,年平均130kg ha^<-1>以上であった.大部分は,フッ化物イオンの配位子交換能により抽出され,活性アルミニウムなどに特異吸着されていると考えられた.褐色低地土では蓄積量が少なく,弱酸可溶のリン酸水素カルシウムや,弱い配位子交換反応で抽出可能な非晶質リン酸アルミニウムなどの沈殿として蓄積していると考えられた.

収録刊行物

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (34)*注記

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