宮古島の湧水口における大気中CO_2濃度と地下水水質との関係

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タイトル別名
  • Relationship between CO_2 concentration and groundwater quality at the mouths of springs on a coral island (Miyako Island, Japan)
  • ミヤコジマ ノ ワキミズグチ ニ オケル タイキ チュウ CO2 ノウド ト チカスイ スイシツ ト ノ カンケイ

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抄録

炭酸塩岩島嶼(宮古島)の海岸地点(1地点)と地下水湧水口(森林地域1地点と農耕地域3地点)において,大気中CO_2濃度と地下水成分を1年間計測した結果と,サトウキビへの施肥窒素量を調べた結果を用い,土地利用によるCO_2放出量の違い,CO_2濃度と地下水水質との関係および施肥窒素量と地下水中H^+濃度との関係を明らかし,またCO_2濃度の推定式を重回帰分析により求めた.その結果,1)CO_2濃度は,海岸地点と森林地域では低濃度(平均389と526ppmv)かつ安定的であった一方,農耕地域では高濃度(平均3277, 1722および2285ppmv)で変動が大きかった.2)農耕地域の推定CO_2放出量は,森林地域に比し3.6〜4.8倍多かった.3)同地域の地下水湧水口における大気中CO_2濃度は,地下水の水温,Ca^<2+>,NO^-_3,H^+濃度との間に有意な正の相関関係を示した.4)同地域地下水中のH^+濃度はCa^<2+>,HCO^-_3濃度との間に,またNO^-_3濃度はK^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,SO^<2->_4,HCO^-_3濃度との間に有意な正の相関関係を示した.5)同地域の地下水中H^+濃度の変化は,耕地への施肥窒素量との間に有意な正の相関関係があり,その濃度は森林地域に比べ有意に高かった.6)以上の結果は,前報で示した硫安中アンモニアの硝化で生じるH^+により,炭酸塩の溶解が促進され,その過程でCO_2が放出されるとした考察と整合した.7)SIcとP_<CO_2>から判断すると,宮古島の農耕地域において,硫安の影響で促進される炭酸塩の溶解過程で放出されるCの一部は,最終的に湧水口においてCO_2として間接放出されると考えられた.8)地下水湧水口における大気中CO_2濃度は,森林地域では地下水温,農耕地域では地下水の水温,H^+およびCa^<2+>濃度の関数として表現できることが示された.

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