オホーツク地域におけるタマネギ畑の耕盤層破砕が窒素収支の改善などの環境保全面に及ぼす効果

  • 鈴木 慶次郎
    北海道立総合研究機構北見農業試験場:(現)北海道立総合研究機構中央農業試験場
  • 中村 隆一
    北海道立総合研究機構北見農業試験場:(現)北海道立総合研究機構中央農業試験場岩見沢試験地

書誌事項

タイトル別名
  • Tillage pan breaking improves nitrogen budget of onion field in Okhotsk region
  • オホーツク チイキ ニ オケル タマネギバタケ ノ コウバンソウ ハサイ ガ チッソ シュウシ ノ カイゼン ナド ノ カンキョウ ホゼンメン ニ オヨボス コウカ

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抄録

余剰水量が少なく,地下水の硝酸汚染に対して脆弱なオホーツク地域において,タマネギ畑の耕盤層の全層破砕処理による根域拡大が窒素収支改善などの環境保全面に及ぼす効果を無施工あるいは通常の心土破砕を対照として検討した.耕盤層の全層破砕は,20〜40cm土層の容積重の低下および気相率の増加,耕盤層出現深の増大をもたらし,根域の深さを約2倍に拡大した.それに伴い,窒素吸収量,総乾物重および収量が,それぞれ有意に増加した.このとき,窒素吸収量の増加程度はタマネギの栄養成長期である6〜7月の積算降水量が少ないほど大きかったことから,全層破砕は,根域における利用可能水量の増加を通じて窒素吸収量の増加および増収をもたらしたと推察した.全層破砕により,窒素収支の余剰は15kgha^<-1>減少すると推定され,収穫時の0〜80cm土層に残存する無機態窒素量は平均で11kgha^<-1>減少した.北海道におけるタマネギ栽培の施肥標準相当量である150kgha^<-1>以下の窒素投入量で窒素環境容量に対する超過窒素量がプラスになる事例は10例中1例のみであったことから,全層破砕処理は,タマネギの生産性を維持しつつ,硝酸性窒素汚染のリスクを軽減可能な技術であると考えられる.

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