Capacity modelをもとにした積雪寒冷地畑の月別土壌浸透水量簡易推定モデル

  • 中辻 敏朗
    北海道立総合研究機構農業研究本部中央農業試験場:(現)北海道立総合研究機構農業研究本部北見農業試験場
  • 笛木 伸彦
    北海道立総合研究機構農業研究本部十勝農業試験場:(現)北海道立総合研究機構農業研究本部中央農業試験場
  • 中津 智史
    北海道立総合研究機構農業研究本部十勝農業試験場:(現)北海道立総合研究機構農業研究本部北見農業試験場
  • 鈴木 慶次郎
    北海道立総合研究機構農業研究本部北見農業試験場:(現)北海道立総合研究機構農業研究本部中央農業試験場
  • 志賀 弘行
    北海道立総合研究機構農業研究本部北見農業試験場

書誌事項

タイトル別名
  • A simple capacity model for estimating monthly percolating water of upland fields in a cool and humid snow region
  • Capacity model オ モト ニ シタ セキセツ カンレイチバタケ ノ ツキベツ ドジョウ シントウ スイリョウ カンイ スイテイ モデル

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抄録

畑地からの窒素溶脱評価に資することを目的に,湿潤な積雪寒冷地を対象として,月別土壌浸透水量を簡易に推定できるモデルを開発した.浸透水の動態は積雪の有無で異なるため,非積雪期間と積雪期間に分けてモデル化した非積雪期間では,降水量と蒸発散量との差引きにより根群域土層の有効水分が有効水分容量を超える場合にのみ浸透水が発生するとした.積雪期間では,早春の融雪期とそれ以外の冬期に区分し,冬期の浸透水量は0.5mm/日,融雪期の浸透水量は積雪期間の積雪水当量から冬期の浸透水量を差し引いて得た.いずれの期間とも,日別値を求めた後,集計して月別値とした.モデルの感度分析の結果,浸透水量の変動には降水量の寄与が大きく,日平均気温と有効水分容量の影響は極めて小さかった.そこで,本道の主要畑土壌の水分特性と代表的作物の根群域深の実態に基づき,有効水分容量を一律60mmと固定して,モデルを簡素化した.気象,土壌および作付体系が異なる畑圃場を対象に開発したモデルで推定した複数年の月別浸透水量は,積雪期間にはやや過大評価となるものの,既往の作物モデルの水収支サブモデルによる推定値と概ね合致し,本モデルは,多様な土壌,気象,作付条件での浸透水の量と発生時期をほぼ適切に推定できると判断された.また,本道の主な畑作地域を網羅した4地点について,平年並みの降水条件での浸透水の季節的発生パターンを推定したところ,融雪期と晩夏〜晩秋の浸透水量か多く,窒素溶脱低減には収穫跡地の残存窒素削減が重要との既往の指摘の妥当性が裏付けられた.

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