ベンゼン中におけるカーボンブラックと過酸化ベンゾイルとの反応

書誌事項

タイトル別名
  • ベンゼン チュウ ニ オケル カーボンブラック ト カサンカ ベンゾイル ト ノ ハンノウ

この論文をさがす

抄録

過酸化ベンゾイルをベンゼン中で分解させると, 多量の炭酸ガスを発生し, 活発な遊離ラジカルの反応が起こることはすでに広く知られているが1), 温度を40°Cに保つと反応も緩慢で, 炭酸ガスの発生量は痕跡程度となる. ここでは, このような条件下でゴム補強用カーボンに対し過酸化ベンゾイルを作用させ, 生成物を半定量的にしらべるとともに, この過程中で反応をうけたカーボン粒子表面の構造変化を追跡した.<br>実験の結果によると, 反応系ヘカーボンブラックを加えた場合には, 過酸化ベンゾイルの一次分解がすみやかで, 安息香酸の収量が目立って多く, なお, このほかに, C6H5COO•によるベンゼンおよび安息香酸の水素引抜き反応に由来するジフェニルとp-フェニル安息香酸の生成も認められた.<br>一方, 処理カーボンをベンゼンやアセトンによって抽出精製し, そのカーボンを加水分解して安息香酸を得たが, これは10g当りのカーボンにつき0.10~0.15gの量であった. この結果は, カーボン粒子表面の結合水素が遊離ラジカルによって引抜かれ, そこへC6H5COO•が結合したものと解釈される.<br>ついで, 加水分解後のカーボンを徹底的に精製してポーラログラフ法でしらべたところ, カーボン粒子表面ヘカルボキシル基の導入されたことが認められたが, 反応系にp-フェニル安息香酸の生成していたことにも関連し, おそらく,•C6H4COOHがカーボン粒子に結びついたものと思われる.<br>なお, このような実験をもとにして, ゴム加硫中に起こるであろうゴム分子とカーボンブックとの結合について考察した.

収録刊行物

  • 日本ゴム協会誌

    日本ゴム協会誌 33 (6), 427-434, 1960

    一般社団法人 日本ゴム協会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ