夜間入浴している介護老人福祉施設の実際と評価

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation into the Actual Conditions of Night Bathing for the Elderly in Nursing Homes
  • 夜間入浴を実施している介護老人福祉施設の実際と評価
  • ヤカン ニュウヨク オ ジッシ シテ イル カイゴロウジン フクシ シセツ ノ ジッサイ ト ヒョウカ

この論文をさがす

抄録

近年、高齢者施設では個別ケアの展開がすすんできている。しかし入浴ケアにおいては、頻度や実施時間帯など利用者の個別のニーズへの対応が十分ではない状況がみられる。しかし介護保険施設の入浴ケア実施時間帯を調査した筆者の先行研究では、就寝前の時間帯に入浴ケアを実施している(以下、夜間入浴とする)と回答のあった施設がわずかながらみられた。これらの施設は、個別ケアの意識が高いことが考えられ、それぞれの施設の入浴ケアの取り組みから個別ケアを実施するための示唆を得たいと考えた。そこで本研究では、夜間入浴を実施している介護老人福祉施設(以下、特養とする)は、いかにして夜間入浴の実施を可能にしたのか、その取り組みの実際とアウトカムを明らかにすることを目的とした。<BR>  先行研究の調査において夜間入浴を実施していた施設のうち、同意が得られた特養3施設の看護・介護管理者を対象として、聞き取り調査を実施した。聞き取り内容は逐語録に起こし、入浴ケアの実施方法については6項目で施設ごとに整理した。また夜間入浴を実施するために準備したこと、夜間入浴を行うようになって利用者やケア職員に起こった変化については語りの内容を検討し、同質のものをまとめて分類した。<BR>  その結果、対象施設においては夜間入浴実施に向けて入浴ケア体制のみならず、施設全体のケア体制、勤務体制の変更が行われていた。また夜間入浴は、一般浴またはリフト浴で、マンツーマン体制でケアがおこなわれていた。さらに看護・介護管理者は、夜間入浴の実施によって利用者に入浴ニーズの充実、睡眠状況の改善、生活の質の向上がみられ、ケア職員のケアの充実、個別ケアの意識の向上がみられたと捉えていた。これらのことから夜間入浴の実施は、入浴時間帯の選択肢の拡大につながり、利用者の希望やこれまでの生活習慣を尊重した入浴ケアの実現につながることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ