頸椎症性神経根症に対する鍼治療の臨床効果

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Efficacy of Acupuncture on Cervical Spondylotic Radiculopathy
  • ケイツイショウセイ シンケイ コンショウ ニ タイスル シンチリョウ ノ リンショウ コウカ

この論文をさがす

抄録

目的 : 頸椎症性神経根症による上肢症状を有する患者を対象に、頸部への鍼治療を行い、臨床効果を確認した。<BR>方法 : 頸椎症性神経根症と診断され、上肢痛·異常感覚を有する患者15名16肢を対象とした。全ての患者に対し、障害高位を中心とした頸部傍脊柱部の中から緊張·硬結などの反応を認める部位、最大10ヵ所を施術部位として、週1回の割合で計4回の鍼治療を行った。施術には直径0.18mmのステンレス鍼を使用し、10∼20mmの深さまで刺入後、雀啄術(1Hz、20sec)を行い、抜鍼した。評価として、各回の治療前と治療終了1ヵ月経過時に症状の程度についてVisual Analogue Scale(VAS)を記録した。併せて治療前と4回の治療終了時、および治療終了1ヵ月経過時にNeck Disability Index(NDI)と頸部神経根症治療成績判定基準を用いてQOL評価を行った。<BR>結果 : VASの経時的変化パターンに関して、全てにおいて有意な変化を認めた(頸肩部痛 : p<0.0001、上肢痛 : p<0.0001、上肢異常感覚 : p<0.001)。また、QOL評価についても、NDI、頸部神経根症治療成績判定基準何れにおいても同様に有意な変化を認めた(NDI : p<0.0001、頸部神経根症治療成績判定基準 : p<0.0001)。治療前と4回目の治療前の比較において有意差を認めたことから治療の継続による効果が確認され(p<0.001)、さらに、治療終了時と治療終了1ヵ月経過時の比較においては有意差を認めず、一定期間における治療の持続効果が確認された(p=0.52)。<BR>考察 : 今回の結果から、頸部への鍼治療は本疾患による頸肩部の症状のみならず、上肢症状に対しても継続効果、持続効果を示すことが確認でき、保存療法の第一選択肢として有用であると考えた。頸部への鍼治療が上肢症状をも軽減させた機序としては、頸部傍脊柱部筋群への刺鍼が、それらを支配する脊髄神経後枝への刺激となり、同高位で分枝した前枝へも反射性の影響を与えた結果、前枝が支配する上肢の痛みの抑制や神経血流へ有益に作用した可能性を考えた。

収録刊行物

参考文献 (12)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ