イネにおける高位分げつ性の遺伝様式

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  • Inheritance of Upper Node Tillering in Rice

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抄録

イネにおける分げつの発生は,通常,茎基部の非伸長節間を構成するファイトマーからに限られ,高位節での分げつ芽は休眠している.しかし,特殊な環境条件下もしくは遺伝的要因によって,高位節から分げつ(高位分げつ)の発生すること(高位分げつ性)がしばしば認められている.本研究では,組換え型近交系(RILs)系統間で高位分げつ性に関して分離が観察される中生新千本/密陽23号(共に野生型)由来RIL集団およびこのRIL間,両親間交雑に由来する分離集団を用いて,高位分げつ性の遺伝様式を検討した.高位分げつ性の遺伝程度を評価するため,上記のRIL集団を5年間(F12からF16世代)圃場栽培して,個々のRILの示す高位分げつ性の年次間の遺伝的継続性に対して分割表による独立性検定を行った.その結果,いずれの年次間でも高位分げつ性はRILに依存し遺伝する傾向にあること,ただし年次間継続性は株開張性に比べると低いことが判った.上記の交雑後の分離集団による結果から,高位分げつ性は2個の独立な遺伝子座(UNT1UNT2)によって制御され,両座ともに劣性のアレル(unt1unt2)が重複して存在する場合に生じることが強く示唆された.

収録刊行物

  • 作物研究

    作物研究 64 (0), 23-29, 2019

    近畿作物・育種研究会

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