地域政策に資する地域資源情報の編集方法に関する一考察

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  • A study on the editing method of local resources information for regional policy

抄録

<p>本格的な人口減少時代の中、各地域においては地域固有の特徴的な地域資源に着目し、シビック・プライドの醸成や地域ブランドの構築に資する地域政策を推進することは極めて重要と考える。 本研究では、新潟県・長野県の県境地域を対象地域とし、地域政策に資する学習材料としての「地域情報資源」に着目し、その編集方法について考察する。</p><p>本研究における対象地域は、新潟県と長野県の県境に接するかその付近に位置する自治体で構成され、概ね新潟県の上越地方と魚沼地方、長野県の北信地方、長野地方および大北地方の一部の範囲を指す。 この県境付近は、中部山岳国立公園、妙高戸隠連山国立公園、上信越高原国立公園などを擁する山間部が中心であり、国内トップクラスの豪雪地帯でもある。一級河川の姫川、関川、信濃川(千曲川)が県境を横断し、新潟県側の日本海に注いでいる。また、1982年開業の上越新幹線に加え北陸新幹線が2015年に開業し、在来線を含めた鉄道のアクセス性が大きく変化した地域でもある。</p><p>筆者らは、上記の広域エリアにおいて、地域づくりに資する学習・交流プラットフォームの形成を目指しており、その端緒としての「信越県境地域づくり交流会」を2015年度から計7回開催した。また、この交流会で培われた人的ネットワーク等を活かし、昨年度から当該地域の特徴とその因果関係を示した「地域資源情報」の編集作業を行った。今年度は、両者のプログラムや体制の見直しを行いつつ継続する予定である。</p><p>ここでいう地域資源情報では、地形・地質、自然、社会資本、食、産業、民俗文化などのあらゆる分野において、全国的な動向との比較によって概ね客観的に説明可能な特徴に着目した。また、それぞれの地域資源の特徴をもたらした背景・要因や、その特徴が地域に与えた影響など、地域資源同士の因果関係にも焦点を当てている。情報収集方法は、各自治体に関係する郷土資料や市町村史、地誌関係の文献、地域資源に関する全国的な動向を記した文献等の調査のほか、関係機関や有識者等へのヒアリング等による。</p><p>このような地域資源情報の編集に当たっては、地理学、特に地誌学に関する知識が大いに役立つとの実感を持っているが、地域政策分野における地誌学の認知度・浸透度は発展途上であると思われる。このことから、本報告では対象地域における地域資源情報の編集プロセスを通じて、地域政策の立場から有用と考えられる地誌学的視点やその導入方法などについて考察する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001277352341504
  • NII論文ID
    130007710965
  • DOI
    10.14866/ajg.2019a.0_147
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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