オスニホンザルへのニューロキニンB受容体拮抗剤皮下インプラントによる繁殖抑制効果の検証

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タイトル別名
  • Verification of suppressive effect of subcutaneous NK3R antagonist implant on reproductive function in male Japanese macaque

抄録

<p>【目的】ニューロキニンB(NKB)は哺乳類の生殖機能中枢であるKNDyニューロンの活動を促進する因子であり,その受容体(NK3R)の選択的拮抗剤SB223412は繁殖機能の抑制効果を持つことが期待される。本研究では,SB223412をオスニホンザルへ慢性投与し,獣害が問題となっているサルにおける繁殖抑制効果を検証した。【方法】実験1:SB223412を飽和させたDMSO溶液をシリコンチューブに充填し,繁殖期のオスニホンザル3頭の皮下にインプラントした(約29 mg/kg BW)。1日に1回8日間採血し,うち1頭から投与46日後に精巣と精嚢腺を採取した。実験2:薬剤を粉末の状態でチューブに充填し,繁殖期のオス2頭の皮下にインプラントした(約376 mg/kg BW)。投与開始から14日目まで2日に1回,14日目から70日目まで1週間に1回採血し,2週間に1回精巣の生検を行った。別の1頭には空のチューブをインプラントし,対照個体とした。両実験にて血中薬剤およびテストステロン(T)濃度の測定,精巣組織の解析等を行いSB223412の繁殖抑制効果を評価した。【結果】実験1:血中SB223412濃度は投与6日後に平均0.48 µg/mLまで上昇し,その後低下した。投与期間を通じて血中T濃度に顕著な変動は見られず,薬剤のT分泌への効果は認められなかった。一方,精細管における精母細胞やセルトリ細胞の脱落,精嚢腺腺腔の萎縮など,薬剤の影響による可能性のある異常が観察された。実験2:投与群2頭の血中薬剤濃度は投与12日後に迎えたピークで平均0.016 µg/mLと終始低値にとどまり,血中T濃度,精巣組織像において対照個体との顕著な差異は認められなかった。【考察】本研究において,皮下にインプラントしたSB223412の血中への移行が不十分であったため,薬剤効果が限定的であったと推察される。ニホンザルにおけるNK3R拮抗剤の繁殖抑制効果の検証のためには,他の薬剤の利用および投与方法のさらなる検討が必要である。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001277355816576
  • NII論文ID
    130007719345
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_p-8
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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