卵巣内における原始卵胞~一次卵胞の発育過程にはマルチステップな卵胞発育制御機構が存在する

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  • There is a multi-step regulation from primordial to primary follicle stage.

抄録

<p>【目的】生体内において初期胞状卵胞以降の発育はホルモン投与によって人為的に促進,排卵誘発する事が可能であるが,原始卵胞~二次卵胞に関しては卵巣内における発育制御機構が不明なため人為的な制御が難しい。我々は生体内において休眠状態の原始卵胞は血管からの物質供給によって活性化されることを確認している。さらに原始卵胞~一次卵胞の発育過程にはマルチステップな制御機構が存在し,活性化された原始卵胞はstop-and-goを繰り返しながら発育する事が明らかになってきた。この結果は,卵胞発育過程には従来の形態学的な特徴を指標とした分類以上に細分化された発育段階が存在していることを示唆している。我々はこのマルチステップな卵胞発育制御機構を解明し,生体内において原始卵胞~排卵までの卵胞発育過程を人為的に制御する方法の確立を目指している。【方法】生後0,4日目,4週齢のOog1pro3.9マウス(卵子特異的に発現する遺伝子Oogenesin1(Oog1)のプロモーターにAcGFP1を結合した組換え遺伝子をもつ)を用いて卵巣組織培養を行い,ライブイメージング解析を行った。Oog1は卵胞の発育に従って発現が上昇する特性があるため,一次卵胞以降のAcGFP1シグナルを検出できる条件で共焦点顕微鏡による撮影を行い,原始卵胞~一次卵胞の発育過程の解析を行った。【結果】培養卵巣組織において原始卵胞から一次卵胞への発育は血清濃度依存的に促進することができるが,一次卵胞が一定数以上存在すると原始卵胞の発育が抑制される事がわかった。また,一次卵胞はエストラジオールによって発育抑制を受けている事も明らかになった。この結果は卵巣組織内において階層的な卵胞間相互作用による発育制御機構が存在し,それによって発育する卵胞数が調整されている事を示唆している。さらにmicroarrayによる一次卵胞の遺伝子発現解析によって,原始卵胞の発育を抑制する因子の同定を進めている。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001277357504768
  • NII論文ID
    130007719360
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_p-9
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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