ニコチン型アセチルコリン受容体シグナルを利用したマウス精子機能の調節

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タイトル別名
  • Regulation of mouse sperm function by using nicotinic acetylcholine receptor mediated signaling

抄録

<p>【目的】精子には数々の神経伝達物質受容体が発現し,その機能に影響することが報告されている。ニコチン型アセチルコリン受容体(nAChR)は5つのサブユニットから構成されておりニコチン(NIC)がアゴニストとして作用する。我々はマウス精巣において,nAChRのサブユニットの中でもεサブユニット(nAChRe)のmRNA発現量が高いことを見出した。本研究ではnAChReに着目し,NICおよびアセチルコリン(ACh)添加による精子機能への影響性,またnAChRe特異的阻害剤であるWaglerin-1(Wtx-1)を用いて検討を行った。【方法】12週齢C57BL/6N雄マウスから脳,精巣,および精子を採取し,抗nAChRe抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。また精巣と精子において同様の抗体を用いた免疫染色によりnAChReの発現様式を検討した。続いてNICおよびAChについて,それぞれに濃度を設定し3時間精子を培養した。尚,Wtx-1はNIC,AChを添加する30分前に添加した。培養後,精子先体に特異的に結合するレクチンを用いて,先体反応率を評価した。【結果】ウェスタンブロッティングの結果より,脳と同様に,精巣および精子においてnAChReの発現が認められた。マウス精巣切片を用いた免疫染色からステップ12以降の伸長精子細胞においてnAChRe発現が認められた。次に,マウス精子では,精子頭部の先体領域にnAChReの局在が認められるとともに,NICおよびACh添加によって精子先体反応の抑制傾向が認められた。またWtx-1を用いた阻害実験から,ACh添加区と比較し,NIC添加区における先体反応の制効果への阻害傾向が認められた。以上の結果より,NICおよびAChがマウス精子上のnAChRを介して精子機能に影響を及ぼすとともに,nAChRe を標的としたnAChRシグナル干渉による精子機能調節が可能と考えられた。今後,精子機能制御や精子選別への応用を検討したい。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001277359168768
  • NII論文ID
    130007719290
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_p-23
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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