月桃由来5,6-dehydrokawainの骨粗鬆症予防効果とその作用機序解明に向けた構造活性相関研究
書誌事項
- タイトル別名
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- Anti-osteoporotic effects of 5,6-dehydrokawain and it's synthetic analogs
説明
<p>骨粗鬆症は骨強度低下によって骨折の危険性が高まった病態であり、その治療および予防は健全な長寿社会を実現するために不可欠である。一方、月桃は亜熱帯および熱帯地域に広く分布し、沖縄では様々な疾病に対して効果があるとして親しまれている食品素材である。月桃は骨粗鬆症を含む更年期障害にも効果があると言われているが、その活性成分や作用機構については不明であった。そこで我々は、月桃からマウス骨芽細胞様MC3T3-E1細胞の分化を促進させる化合物を探索した。</p><p>月桃からの骨芽細胞分化促進物質の探索</p><p>月桃の根茎をメタノールで抽出し、酢酸エチル可溶部、ブタノール可溶部、水可溶部を得た。活性試験として、マウス由来MC3T3-E1細胞をアスコルビン酸及びβ-グリセロホスフェートの存在下DMSO (コントロール)もしくは各画分を添加して4-7日間培養後、骨芽細胞分化の指標となるアルカリホスファターゼ (ALP)活性を評価した。また、上述の条件で10日以上培養後に生じる分化後期の指標であるカルシウム沈着をアリザリンレッドで染色し、定量した。ALP活性を有意に促進させた酢酸エチル可溶部を各種クロマトグラフィーに供し、5,6-dehydrokawain (1)、dihydro-5,6-dehydrokawain (2)を活性物質として単離した。1及び2は、これまでにも月桃から単離され様々な生物活性が報告されてきたが1)、骨代謝関連に対する報告はなされていない。1および2は、ALP活性を有意に増加させるとともにカルシウムの沈着を促進させた(Fig. 2 and 3)。さらに、骨芽細胞分化に重要な役割を果たす転写因子であるRunx2やOsterixの遺伝子発現を定量PCR法で測定したところ、1はその発現を有意に増強させるとともに、骨芽細胞分化に伴うマーカー遺伝子であるAlplやBglapの発現も有意に増加させる事を確認した2)。</p><p>5,6-dehydrokawain (1)のin vivo 評価</p><p> in vitroの結果より、1は骨芽細胞の分化を促進させることで骨粗鬆症の予防に有効である可能性が示唆された。そこで次に更年期障害のモデル動物である卵巣摘出ラット(OVXラット)を用いた試験を行った。試験に供する1は、市販のα-ピロンから2工程で合成した(Scheme 1)3)。1週間の予備飼育の後、1を100 mg/kg/day (体重当たり)となるよう低カルシウム食に混餌しOVXラットに与え4週間飼育した。一週ごとに摂餌量と体重を測定し、4週間後ラットを解剖して子宮近傍の脂肪重量および左大腿骨の骨重量を測定した。その結果、擬似手術群(Sham)に対してOVX群は有意な体重及び脂肪重量の増加を示したが、1はOVXラットにおける肥満症状を抑制するとともに(Fig. 4A and 4B)体重当たりの骨重量を増加させたことから(Fig. 4C)、骨粗鬆症の予防に有効である可能性が示唆された。</p><p>1の類縁体合成と骨芽細胞分化促進作用</p><p>1の作用機構の解明ならびにより活性の強い骨芽細胞分化促進物質の開発を目的として、1の類縁体を合成し、骨芽細胞分化促進効果を評価した。骨芽細胞分化の指標として、ALP活性及びカルシウム沈着を測定した。初めに、1の芳香環部位の重要性を調べるために、類縁体5-7を合成し(Fig. 5)、活性試験に供した。</p><p>芳香環をシクロヘキシルに変換した5では、A</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
収録刊行物
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- 天然有機化合物討論会講演要旨集
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天然有機化合物討論会講演要旨集 58 (0), Poster38-, 2016
天然有機化合物討論会実行委員会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001277364062080
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- NII論文ID
- 130007722932
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- ISSN
- 24331856
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可