励起子ポラリトンの量子凝縮 (解説)

  • 山本 喜久
    国立情報学研究所量子情報国際研究センター:スタンフォード大学ギンツトン研究所
  • 宇都宮 聖子
    国立情報学研究所量子情報国際研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Quantum Condensation of Exciton-Polaritons
  • 励起子ポラリトンの量子凝縮
  • レイキコ ポラリトン ノ リョウシ ギョウシュク

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説明

量子井戸にトラップされた励起子とプレーナマイクロ共振器に閉じ込められた光子が強結合を起こして生成される励起子ポラリトンは,その質量がアルカリ原子に比べて約10桁,励起子に比べて約4桁も軽いため,極めて高温・低密度で量子凝縮相を実現できる.一方,励起子ポラリトンは,数ピコ秒から数十ピコ秒という短い寿命を持つため,超流動液体ヘリウムやアルカリ原子ボーズアインシュタイン凝縮体(BEC)が熱平衡下の量子凝縮相を示すのに対し,非平衡開放系での量子凝縮を発現する.本稿では,急速に発展しているこの新しい量子凝縮相の研究をレビューする.特に,同じ非平衡系でありながら巨視的コヒーレンスを実現しているレーザー相転移との違い,2次元系に特有なBerezinskii-Kosterlitz-Thouless(BKT)相転移の実験的証拠,音波的な励起スペクトラム,高次軌道関数での量子凝縮,などに焦点を当てて解説する.

収録刊行物

  • 日本物理学会誌

    日本物理学会誌 67 (2), 96-107, 2012-02-05

    一般社団法人 日本物理学会

参考文献 (56)*注記

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