説明的文章の批判的読みの指導における統合的理解

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タイトル別名
  • The Integration of Multiple Arguments in Instructions for Critical Reading Expository Texts
  • セツメイテキ ブンショウ ノ ヒハンテキ ヨミ ノ シドウ ニ オケル トウゴウテキ リカイ

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説明

<p>教育哲学者リチャード・ポールによると、人間社会で生じる問題は「多元論理の問題」と呼ばれている。学校教育を通して、生徒が多元論理の問題を解決できるようになるためには、複数の主張から統合的理解を形成していくような批判的思考力の育成が欠かせない。本稿では、中学校国語科、とりわけ説明的文章の批判的読みの実験授業の分析を通して、生徒が協同的に統合的理解を形成していく過程を分析した。本実験授業では、同じ問題に対して異なる主張を述べた複数の教材を用いた。生徒は自分が賛同できる教材を選び取り、筆者同士の対話形式で学習を進めていった。</p><p>分析の結果、統合的理解の形成過程は、次のような段階的過程であることが明らかになった。まず、自分が選んだ筆者の主張を代弁していくなかで、「(a)互いの筆者の論証が理解される段階」である。次に、相手からの反論への応答を迫られ、反証が作り出されることで、「(b)互いの主張の適用範囲が自覚される段階」である。最後に、「(c)複数の状況に対応して統合的理解が形成される段階」である。</p><p>多元論理の問題に対応した批判的思考力を育てるためにも、説明的文章の批判的読みの指導は、現実社会の状況に対する主張の適用範囲を吟味することを含んだものへと、拡張されなければならないだろう。</p>

収録刊行物

  • 国語科教育

    国語科教育 86 (0), 26-34, 2019-09-30

    全国大学国語教育学会

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