冬季伐採にともなう春季の光阻害がトドマツ前生稚樹の成長に及ぼす影響

DOI
  • 北尾 光俊
    (国研)森林機構 森林総合研究所北海道支所
  • 原山 尚徳
    (国研)森林機構 森林総合研究所北海道支所
  • 韓 慶民
    (国研)森林機構 森林総合研究所植物生態研究領域
  • Agathokleous Evgenios
    (国研)森林機構 森林総合研究所北海道支所
  • 上村 章
    (国研)森林機構 森林総合研究所北海道支所
  • 古家 直行
    (国研)森林機構 森林総合研究所北海道支所
  • 石橋 聡
    (国研)森林機構 森林総合研究所北海道支所

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of springtime photoinhibition on the growth of <i>Abies sachalinensis</i> seedlings after a winter cutting

抄録

<p>常緑針葉樹のトドマツは耐陰性が高い樹種として知られており、雪が少なく笹との競合が少ない北海道道東地域のトドマツ林では、林床に多くのトドマツ前生稚樹が生育している。現在、植林コストの削減のために、上木伐採後のトドマツ前生稚樹の天然更新に期待が寄せられている。しかしながら、冬季に伐採を行った翌春には、トドマツ前生稚樹針葉の赤変や個体の枯死が見られる事例が報告されており、上木伐採による光環境の改善が必ずしもトドマツ稚樹の成長促進に結びついていないのが現状である。本研究では、冬季伐採による光環境の変化がトドマツ前生稚樹の天然更新に及ぼす影響を明らかにするために、伐採率が異なる林分に生育するトドマツ稚樹既存葉の光阻害ならびに新葉の成長を調べた。クロロフィル蛍光反応測定により、上木の伐採強度が強いほど春季の光阻害の程度が大きくなること、また、遮るものがなく日射を多く受ける個体ほど当年枝の成長が抑制されることから、トドマツ前生稚樹の赤変や枯死の原因は林床の暗環境に順化した既存の葉が強光にさらされることで生じる光阻害であることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288033703680
  • NII論文ID
    130007376428
  • DOI
    10.11519/jfsc.129.0_784
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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