中部山岳域に生育するオオシラビソの枝伸長量の気候応答

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タイトル別名
  • Climatic response of shoot elongation of <i>Abies mariesii</i> in the subalpine zone of central Japan.

抄録

<p> 気候変動の影響を受けやすいとされる高標高地域において、分布する樹木の気候応答を知ることは今後の森林動態や樹種の分布変遷を知る上で重要である。本研究では、長野県中部亜高山地帯に生育するオオシラビソを対象に、肥大成長と伸長成長を制限する気候要因を抽出した。本調査は信州大学西駒演習林の標高2000m地点に分布する、林冠の閉鎖していないシラビソ‐オオシラビソ群集にて行った。林冠を構成するサイズの個体から21個体を選木し、幹から年輪のコア資料を採取して過去の肥大成長量を復元した。伸長成長は、自己被陰の影響が少ない樹冠上部から一次枝を各個体3本ずつ採取して、節間成長を計測することで過去の成長量を復元した。幹ではなく枝の伸長成長を使用することで、同一個体から複数の伸長成長量データを得た。解析の結果、肥大成長量は前年10月の降水が多いまたは当年4月の降水が少ない場合に成長量が増大した。一方、枝の伸長成長量は当年5月の降水が多いまたは前年9月と当年8,9,10月の最低気温が高いほど増大した。このように肥大成長と伸長成長は制限する気候要因が異なり、その結果、双方の成長量の経年変化は有意に同調しなかった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288035280128
  • NII論文ID
    130007375849
  • DOI
    10.11519/jfsc.129.0_321
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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