オオシラビソ被害林における稚樹の分布と立地環境の関係

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タイトル別名
  • Relationships between the distribution and site conditions of saplings in <i>Abies</i> <i>Mariesii</i> disease forest

抄録

<p> 冬季に樹氷を形成する山形蔵王のオオシラビソ林では、近年発生した加害昆虫により衰弱・枯死する個体が増加している。ササが繁茂する林床には稚樹や実生が少ないことから、観光資源を維持するためには、天然更新を促進する方法を検討する必要がある。ササ型林床の同種の森林では、稚樹はササの被度が低い樹冠下に集中分布することが知られており、その要因は1)ササの被陰による枯死、2)堆積したリターの発芽・定着阻害と考えられている。そこで、被害林内の稚樹の分布傾向を確認し、実際に光条件や有機物層の厚さを定量化して両者の影響を比較した。 その結果、稚樹は同種樹冠下に集中して分布しており、ササの密度が低いほど稚樹本数が多い傾向が見られた。相対光量子束密度が高いほど稚樹が多い傾向はなく、有機物層が厚い立地にほとんど稚樹はなかった。一般化線形モデルによるAICの比較を行ったところ、最も予測が良いモデルに選択されたのは、稚樹本数をササ桿数と有機物層の厚さで説明したモデルであった。したがって、天然更新を促進するためには、地上部の刈り払いに加えて、有機物層も除去する必要があると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288035300224
  • NII論文ID
    130007376161
  • DOI
    10.11519/jfsc.129.0_564
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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