糖尿病患者を対象としたサーモグラフィによる靴の適合性の検討

  • 川村 留美
    東京大学医学部附属病院看護部
  • 大江 真琴
    東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター
  • 竹原 君江
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻看護管理学分野/看護体系・機能学分野
  • 雨宮 歩
    千葉大学大学院看護学研究科生活創成看護学講座健康増進看護学教育研究分野
  • 大橋 優美子
    東京大学医学部附属病院看護部
  • 野口 博史
    東京大学大学院医学系研究科ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座
  • 村山 陵子
    東京大学大学院医学系研究科社会連携講座アドバンストナーシングテクノロジー
  • 森 武俊
    東京大学大学院医学系研究科ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座
  • 植木 浩二郎
    国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター
  • 門脇 孝
    東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
  • 小見山 智恵子
    東京大学医学部附属病院看護部
  • 真田 弘美
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/創傷看護学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of Shoe Fitting by Thermography in People with Diabetes Mellitus
  • トウニョウビョウ カンジャ オ タイショウ ト シタ サーモグラフィ ニ ヨル クツ ノ テキゴウセイ ノ ケントウ

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説明

【要旨】靴ずれは糖尿病性足潰瘍の発症因子の一つであることが指摘されている.そこで,糖尿病患者が着用している靴の適合性につき,サーモグラフィを用いて検討したので報告する.糖尿病患者30名を対象に,靴を脱いだ後20分間,足部のサーモグラフィを撮影し,同時に着用していた靴のサイズと幅を測定した.足のサイズと幅は過去に外来受診した際に測定した値を診療記録より収集した.データがそろった上で,靴を脱いだ後の足の温度変化と足と靴のサイズの差および足と靴の幅の差を比較検討した.対象55肢のうち,靴を脱いだ20分後の足部の皮膚温が「一部の趾のみ上昇」していたものが17肢あった.この群における靴のサイズと足のサイズの差は0.59±0.97cmであり,靴を脱いだ20分後の足部の皮膚温が「変化なし」または「足先から低下」していたものの0.87±0.84cmに比べ,有意に小さかった(p=0.029).なお,靴と足の幅の差については,有意差はなかった.したがって,靴を脱いだ後にみられる「一部の趾のみ上昇」は,履いている靴のサイズが短いことを反映していると考えた.以上のことから,サーモグラフィによる足部の皮膚温測定は足潰瘍の予防に有用である可能性が示唆された.

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