長期データからみる東日本の梅雨最盛期における多降水年の特徴に関する気候学的解析(その2)
書誌事項
- タイトル別名
-
- Long-term Climatology on the precipitation features for the large rainfall years on eastern Japan in the Baiu season
抄録
東京と長崎の1901~2010年の梅雨最盛期(6月16日~7月15日)について,各年を総降水量と大雨日降水量の寄与率に基づき,特徴のあったパターンの年に注目して解析を行った。<br> NCEP/NCAR再解析データで広域場の解析のできる1951年以降の事例について解析を行った。東京(ア)(1951年以降は7年)については,関東付近より北方で平均場の気温の負の偏差がみられた年(東京(ア)1と呼ぶことにする(全部で4年))と,その他の年(東京(ア)2(全部で3年)の2つのパターンに細分できた(1951年以降の東京(イ)は4年分あり)。<br> 東京(ア)1は平均場の比較的強い傾圧帯が東京より少し南方まで広がっており,傾圧性の一番強いところ(北緯30°~40°にかけて)で低圧部となっており,小低気圧の通り道となっていそうだった。そのような緯度帯で大陸から本州東方まで東西に長く伸びる梅雨前線上を,2本以上の等圧線で囲まれるような小低気圧が東京付近を通過するような事例で大雨日となっていたことも多かった。小低気圧の通過後,東京付近で度々北風が発生することも多いようだった。東京(イ)では日々でみると前線はなく台風のみが関東付近に接近している事例がよくみられ,そのような状況の反映もあってか,関東の南西方で東京(ア)1よりSLPが低くなっていた。また南東方の高圧域も少し北方まで伸びており,関東南方の東西の気圧傾度が強くなっていた。東京(ア)1と同様に小低気圧が東進して抜けていくような事例だけでなく,台風の接近の台風本体の東側だけでなく,台風を流す場としても,強い南風が北緯30°付近で数日以上持続する期間の中で,100 mm/日近くの大雨日も出現していた。<br> 1951年以降のデータを用いた解析から得た結果について,1950年までの天気図から各パターンの特徴をどこまで確認することができるのかを吟味した。パターン(イ)の事例では,1951年以降では,前線を伴わない台風のみの接近による大雨日が多かった。1950年以前の天気図では,実際に台風と判断して良いかは検討が必要であるが,上述のような位置での低圧部の継続もみられた。また,関東南方の東西の気圧差については,1950年以前のパターン(イ)の大雨日の多くで大きくなっており,そのような場では関東で南風が大きくなっていたことが確認できた。
収録刊行物
-
- 日本地理学会発表要旨集
-
日本地理学会発表要旨集 2018s (0), 000332-, 2018
公益社団法人 日本地理学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001288041685376
-
- NII論文ID
- 130007412143
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可