御嶽山噴火(140927)後の周辺水環境に関する研究(6)
書誌事項
- タイトル別名
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- A study on the water environment of around Mt. Ontake after eruption (140927) (6)
説明
Ⅰ はじめに<br> 2014年に発生した御嶽山の水蒸気爆発噴火は、火山噴出物を放出し、飲み水として利用されている山頂域の湖沼水や周辺の河川水に影響を与えた。そこで、噴火後の湖沼や河川の水質と、噴火前あるいは1979年の噴火時の水質を比較し、今回の噴火により水質がどう変化したか把握するとともに、水質の測定を継続して時間の経過に伴う水質の変化を追うことを試みた。2017年春季大会では2017年2月までの結果を報告したが、今回は、2014年10月~2017年10月のデータを中心に、2018年2月までの結果について報告する。<br><br>Ⅱ 研究方法<br> 調査はこれまでに32回実施し、現地調査項目はAT, WT, pH, RpH, EC等である。河川・湖沼の調査のほか雨水の採取も行なっている。現地で採水したサンプルは研究室にて処理したのち、TOC、主要溶存成分の分析を行なった。<br><br>Ⅲ 結果と考察<br> 1.噴火後1年経過まで<br> 火山噴出物の影響を強く受けた濁川と濁川合流後の王滝川は白濁し、pHは低く電気伝導度(EC)の値が高かった。その後、pHは上昇、EC値は低下し、2015年1月末には値が安定した。その間、王滝川中の御岳湖では全循環により湖水全体に濁水が広がり、放水により最下流部では時間差でpHが低下しECが上昇する現象が観測された。融雪の影響は2月から現れ始め、4月末にピークに達した。当初の仮説に反し、pHの低下とともにECの値も低下したため、山体に堆積した火山噴出物の影響は水質には現れず、低pHの融雪水によりECは希釈されたものと考えられる。6月以降は、梅雨あるいは台風による降雨の後に、pHの低下とEC値の上昇が測定されたことから、堆積していた火山噴出物が流入して改めて水質が変化したものと考えられる。<br> 2.噴火後2年経過まで<br> 台風の時期が過ぎ、10月末になると水質は安定した。11月以降は、河川水の水質への地下水の性質の影響が観測された。2016年2月には、pHとともにEC値が低下し、改めて融雪期には希釈効果が卓越することが示されたが、1年目ほどEC値が低下しなかった。1年前の同時期と比較すると積雪量が圧倒的に少なく、積雪量の差が希釈効果の大きさにも現れたと考えられる。6月以降は梅雨や台風により火山噴出物の影響が水質に現れ、特に濁川を中心にpHやEC値が変動した。<br> 3.噴火後3年経過まで<br> 2015年時と同様、10月末には水質が安定し、11月以降は地下水の性質が河川水質に現れた。2017年に入っても降雨後には濁川を中心にpHの低下とECの上昇が測定され、火山噴出物の影響はしばらく続くものと推定される。<br> 4.1979年噴火時との比較<br> 噴火から約一月後の水質組成は、1979年時と今回とで非常に似通っており、その分布も一致していた。しかし、噴火直後の濁川の水質組成を比較すると、1979年時は硫酸カルシウム型なのに対し、今回は塩化ナトリウム型で差異があり、各成分の濃度も異なっていた。<br><br>Ⅳ おわりに<br> 御嶽山周辺地域の水環境に対する今回の噴火の影響とその経過が把握できた。今後も調査を継続して、引き続き水質がどう推移していくのかを追っていきたい。<br><br>参 考 文 献<br>浅見和希・小寺浩二・猪狩彬寛・堀内雅生(2017):御嶽山噴火(140927)後の周辺水環境に関する研究(5), 日本地理学会2017年度春季学術大会講演要旨集.
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2018s (0), 000269-, 2018
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288041693440
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- NII論文ID
- 130007412068
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可