収縮性心膜炎を合併し急速に進行した心膜悪性中皮腫の1例

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タイトル別名
  • A case of rapidly progressive malignant pericardial mesothelioma with constrictive pericarditis

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抄録

<p> 症例は64歳女性.発熱,胸背部痛の訴えで近医を受診.心外膜炎の診断で1カ月間入院したが,退院後に呼吸困難症状が増悪したため,当院救急外来を受診.経胸壁心エコーにて左心室のび漫性壁運動低下と軽度の心嚢液貯留を認めた.原因不明の心不全であり精査加療目的に緊急入院となった.標準的な心不全治療を行うも症状改善せず,原因検索を行うも診断には至らなかった.入院第14病日頃から心嚢液の減少とともに心膜が急速に肥厚し,収縮性心膜炎に至った.循環動態も悪化し,外科的に心膜切開術を試みたものの心膜と心筋組織が強固に癒着しており,剝離が不可能であったためWaffle procedureを施行した.しかし,血行動態の改善には至らず第42病日に永眠され,その後の病理解剖にて心膜悪性中皮腫と診断した.心膜悪性中皮腫は極めて稀なものの予後不良の疾患である.しかし特徴的な画像所見や腫瘍マーカーがなく診断は困難であり,結果として治療に難渋することが多い.本症例について文献的考察を含めて報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 49 (7), 710-717, 2017-07-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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