膀胱瘻の造設が治癒に寄与したと考えられる恥骨後式前立腺全摘術後の直腸尿道瘻の1例

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タイトル別名
  • A Case of Rectourethral Fistula after a Radical Retropubic Prostatectomy in which Construction of a Bladder Fistula Contributed to the Healing

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症例は75歳の男性.前立腺癌のため恥骨後式前立腺全摘術を施行した.術中に下部直腸の前壁に直径15mmほどの全層性の直腸損傷を認め損傷部分の修復および回腸人工肛門造設術を行った.術後に直径約10mmの直腸尿道瘻を合併し,経肛門的瘻孔閉鎖術を行った.再発を認めたため膀胱瘻を造設し,6ヵ月間経過観察した.瘻孔の直径は約3mmと縮小したものの完治には至らず,再度の経肛門的瘻孔閉鎖術を行い治癒した.回腸人工肛門閉鎖術後も直腸尿道瘻の再発は認めていない.恥骨後式前立腺全摘術の合併症の1つである直腸損傷の発生頻度は稀であるが,重症な合併症である直腸尿道瘻に移行するものもある.一旦,直腸尿道瘻が形成されると本症例のように難治性であることが多い.今回,膀胱瘻の造設が治癒に寄与したと考えられた直腸尿道瘻の1例を経験した.若干の文献的考察を加えて報告する.

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