身体障害者福祉法成立に盲人集団が果たした役割

  • 小西 律子
    関西学院大学大学院人間福祉研究科博士課程後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • The Role that Blind Groups Played in the Enactment for the Act on Welfare of Physically Disabled Persons
  • シンタイ ショウガイシャ フクシホウ セイリツ ニ モウジン シュウダン ガ ハタシタ ヤクワリ

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抄録

1949(昭和24)年に成立した身体障害者福祉法は,GHQによって特権を奪われ生活困窮に陥った傷痍軍人を救済するために生まれたとされている.しかし,非軍事化・民主化を占領政策の基礎におくGHQを前に,政府が限定的に行った傷痍者保護対策を身体障害者福祉法へと発展させるためには,戦争を連想させにくい対象者が必要であった.ここに登場したのが盲人集団である.職業的自立の危機にさいなまれていた盲人集団は,戦前から法律制定を求める運動,日本型盲人社会事業や職業リハビリテーションの実践,全国組織の結成などに取り組んでいた.戦後になると,ヘレン・ケラーを招聘し,その受け入れ母体として日本盲人会連合を設立した.そして,ヘレン・ケラー・キャンペーンを通じて盲人福祉法の実現を訴えた.政府およびGHQは,盲人集団を傷痍者対策の中心に据え,同キャンペーンを演出し,身体障害者福祉法の実現へと歩みを進めた.

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 52 (4), 3-16, 2012-02-29

    一般社団法人 日本社会福祉学会

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