血清外観情報を用いた溶血検体における血清カリウム補正式の作成

  • 半田 憲誉
    JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター臨床検査科
  • 畠口 佳冴
    JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター臨床検査科
  • 矢ヶ崎 絵美
    JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター臨床検査科
  • 中島 優季
    JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター臨床検査科
  • 金井 和紀
    JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター臨床検査科
  • 小澤 俊之
    JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター臨床検査科

書誌事項

タイトル別名
  • Development of equation to calculate true potassium levels in hemolyzed blood samples

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説明

<p>カリウム(K)は心臓の収縮や伝導系,神経や平滑筋の活動に関わる陽イオンで,生体のホメオスタシスにおいて重要な役割を果たしている。溶血検体では偽高値を生じるため,正確な血清K値を得るためには再採血が望ましい。しかし採血困難,採血時間の指定など再採血ができないケースも存在する。そのため溶血の強さとKの変動幅に一定の関連性が認められれば溶血の影響を考慮した本来の値を推察できると考え,本検討を行った。まず患者50名のヘパリン血検体を対象とし溶血再現試料(hemolysis reproduction reagent)を作製した。これを生理食塩水とプール血清と混ぜ,ヘモグロビン濃度が0,100,200,300,400,500 mg/dLの溶血試料を作製した。この溶血試料を対象にhemolysis index,血清K値の測定を行い,溶血の強さと血清K値の上昇幅および上昇率との関連性を調べた。これらの結果から2つの血清K補正式,Equation 4およびEquation 5を作成した。次に溶血により再採血が行われた患者40名の血清を対象に補正式の検証試験を行った。その結果,Equation 4では非溶血検体の血清K値と溶血検体の補正K値の平均誤差が約0.5 mmol/Lとなり,その性能は不十分であると考えられた。一方Equation 5では平均誤差が約0.3 mmol/Lとなり,Equation 5を利用することで溶血検体でも本来の血清K値が推測可能であると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 67 (4), 512-518, 2018-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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