血清亜鉛と血清銅の測定~ドッグフード食と手作り食の比較

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説明

亜鉛と銅はイヌの手作り食においてAAFCOの養分基準を満たすのが難しい微量ミネラルである。本研究では手作り食・ドッグフード食の犬の血清亜鉛濃度及び血清銅濃度を比色法にて測定比較し、栄養指導における血中濃度測定の有用性を検討した。血清亜鉛濃度は人では日内変動がある[2]とされ、今回同一個体のイヌではあるが、4パターンの食事を1か月与えた後で日内変動を測定した。手作り食群・ドッグフード食群ともに血清亜鉛濃度の平均値は基準値64-198μg/dl内であったが、手作り食群の方が低値で、有意な差が認められた。また手作り食群16例中5例で血清亜鉛濃度が基準値以下であり、手作り食時には亜鉛欠乏を注意する必要があるといえた。一方、血清銅濃度ではドッグフード食群の平均値85.2μg/dlが基準値46-76μg/dlを超える結果となった。AAFCOの養分基準では銅の上限は決まっておらず、ドッグフード中の銅の蓄積と慢性肝炎の関連も報告されている[1]ことから、今後症例数を増やし関連性を検討したい。顕著な日内変動は認められなかった。本研究より、血清亜鉛や血清銅の測定は栄養指導時の一つの指標となる可能性が示唆された。

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