日本人小児における尿中含フッ素芳香族ピレスロイド系殺虫剤代謝物濃度の経年推移

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  • Concentrations of Urinary Tetrafluorobenzyl-containing Pyrethroid Metabolites in Japanese Children Between 2006-2015

抄録

<p>含フッ素芳香族ピレスロイド系殺虫剤(F-PYR)は、高い選択毒性を有し常温蒸散性を持つことから、比較的安全性の高い衛生害虫用あるいは不快害虫用殺虫剤として一般家庭で汎用されている。我々はすでにF-PYR曝露指標である尿中F-PYR代謝物の高感度測定法を確立しているが、その尿中濃度に関する情報は十分ではない。本研究では尿中F-PYR代謝物測定を用いて、小児におけるF-PYR曝露レベルの経年変化を調査した。愛知県内の同一幼稚園に通う4-7歳の男女を対象とした。2006年51人(男26、女25)、2011年50人(男24、女26)、2015年50人(男26、女24) (いずれも10月)の早朝尿の提出を依頼して分析検体を得た。F-PYR代謝物である2,3,5,6-tetrafluorobenzyl alcohol (FB-Al)、4-methyl-2,3,5,6-tetrafluorobenzyl alcohol (CH3-FB-Al)、4-methoxymethyl-2,3,5,6-tetrafluorobenzyl alcohol (CH3OCH2-FB-Al)および2,3,5,6-tetrafluoro-1,4-benzenedimethanol (HOCH2-FB-Al)をGC-MS/MSで定量した。3群比較にはKruskal-Wallis検定、その後の検定にはMann–Whitney U検定(Bonferroni補正)を用いて、クレアチニン補正した各年の代謝物濃度を比較した。中央値(µg/g creatinine)はFB-Alで<LOD, 0.02, 0.12、CH3OCH2-FB-Alで<LOD, <LOD, 0.08、HOCH2-FB-Alで<LOD, 0.07, 0.10 (2006, 2011, 2015年の順)であった。CH3-FB-Alの中央値はいずれもLOD以下であった。統計解析の結果、2015年のすべての代謝物は2006年のそれに比べて有意に高値を示した。CH3OCH2-FB-AlおよびHOCH2-FB-Alは2006年に比べて2011年で高値であった。2011年と2015年との間で有意差が検出された代謝物はなかった。これらの結果は、2003年以降の日本における家庭用PYR殺虫剤排出量の増加傾向(PRTR)を反映した可能性がある。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288053328896
  • NII論文ID
    130007431900
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_p-87
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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