MEF2A転写因子の活性抑制を介したカドミウム毒性発現

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タイトル別名
  • Cadmium toxicity through the suppression of MEF2A transcription activity

抄録

<p>カドミウム(Cd)は、工業用原料として幅広く利用されている重金属であるものの、環境毒性物質としてヒトの健康を脅かす有害な重金属でもある。Cdの生物学的半減期は非常に長く(10〜30年)、その慢性曝露によって重篤な腎毒性が引き起こされる。特に、Cdの腎毒性には様々な遺伝子の発現破綻による腎近位尿細管細胞障害が深く関与している。しかしながら、遺伝子発現を調節しているCdの標的転写因子はほとんど明らかにされていない。そこで今回、ヒト由来の腎近位尿細管上皮細胞(HK-2細胞)を用いて、Cd毒性発現に関与する新たな転写因子を網羅的スクリーニング法(Protein-DNAアレイ)で検討した。その結果、Cdによって転写活性が低下する転写因子としてMEF2Aが見いだされ、細胞内でのMEF2Aレベルの低下はHK-2細胞に有意な細胞毒性を引き起こした。次に、Cd毒性発現に関与しているMEF2Aの下流遺伝子を検索したところ、MEF2AノックダウンによってCDKN2Aの遺伝子発現が減少し、CDKN2AのノックダウンはHK-2細胞の生存率を有意に低下させた。また、MEF2AはGLUT4の発現に深く関与していることが報告され、HK-2細胞においても、MEF2AノックダウンがGLUT4の遺伝子発現を有意に減少させた。しかも、GLUT4のノックダウンはHK-2細胞の生存率を顕著に低下させた。Cdは、CDKN2AおよびGLUT4の遺伝子発現並びにタンパク質レベルも減少させた。以上の結果より、CdによるMEF2Aの転写活性抑制は、細胞内でのCDKN2AおよびGLUT4レベルの低下を介して細胞毒性を引き起こすことが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288054807808
  • NII論文ID
    130007432659
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_o-13
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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