ゲノム編集技術を用いたIL-8 GFP assayの開発
書誌事項
- タイトル別名
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- Development of IL-8 GFP assay using genome editing technologies
抄録
<p>【目的】化学物質の新規皮膚感作性代替試験法の構築に向けた試験系の開発が行われている。そのうち、Interleukin 8 (IL-8) プロモーターの下流にLuciferaseを組み込んだプラスミドをヒト単球由来細胞株THP-1に導入した試験系 (IL-8 Luc assay) が報告されている。しかし、この方法はIL-8プロモーターの特定領域を外来的に導入した系であるため、化学物質によるIL-8の発現誘導を完全に模倣できてはいない。そこで本検討は、ゲノム編集技術のCRISPR/Cas9システムを用いてIL-8遺伝子座にGFPを挿入して、内在性IL-8プロモーター制御下でIL-8とGFPを共発現するTHP-1細胞を作製し、本細胞株を用いたIL-8 GFP assayの樹立を試みた。</p><p>【方法】monomeric GFPをコードするpCMV-AC-mGFPベクターをXhoI処理し、自己切断ペプチドP2Aを組み込んだpCMV-P2A-mGFPを作製し、PCR法によりP2A-mGFPを得た。P2A-mGFPを相同組換え修復を用いてIL-8遺伝子座の終始コドン直前に挿入するために、挿入する位置の前後約1000 bpの配列をホモロジーアームとしてP2A-mGFPの両端に組み込んだドナーベクターを作製した。10% FCS含有RPMI-1640培地で培養したTHP-1細胞に、IL-8の終始コドン近傍に設計したsgRNAをCas9蛋白質とドナーベクターと共にエレクトロポレーション法によって導入した。ゲノム編集後のTHP-1細胞は、限界希釈法でシングルセルクローニングを行った。P2A-mGFP配列のIL-8遺伝子座へのノックインの検証は、PCR法とシークエンス解析により行った。</p><p>【結果および考察】PCR法により設計通りの位置にP2A-mGFPが挿入されたクローンを選別し、シークエンス解析によりP2A-mGFP配列と周辺配列に変異がないクローンを得た。そのクローンに感作性物質の2,4-Dinitrochlorobenzene (DNCB) を3.13、6.25 μMの濃度で6時間処理しRT-PCRを行った結果、IL-8とmGFP mRNAは共にDNCB処理で誘導された。さらに、蛍光顕微鏡によりDNCB処理によるmGFPタンパク質の発現誘導も観察できた。以上より、内在性IL-8プロモーター制御下でGFPを発現するTHP-1細胞の作製に成功した。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 45.1 (0), P-226-, 2018
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288054822400
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- NII論文ID
- 130007432432
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可