化学物質の発達神経毒性指標としての授乳期ラット神経細胞のE-S coupling

DOI
  • 笛田 由紀子
    産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学
  • 吉田 祥子
    豊橋技術科学大学 環境・生命工学系
  • 石田尾 徹
    産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学
  • 保利 一
    産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学
  • 諫田 泰成
    国立医薬品食品衛生研究所 薬理部
  • 上野 晋
    産業医科大学 産業生態科学研究所 職業性中毒学

書誌事項

タイトル別名
  • E-S Coupling as an Evaluation Indicator of Developmental Neurotoxicity of Chemical Substances

抄録

<p>我々は胎生期の化学物質曝露に起因する生後の遅延性神経毒性を早期に評価できるex vivo試験法の開発と確立を目指している。自閉症モデル動物作製に使用されるバルプロ酸(VPA)とともに、我々が以前遅延性発達毒性を報告した産業化学物質1-ブロモプロパン(1-BP)の胎生期曝露により、生後授乳期の海馬神経回路における入力=シナプス応答性と出力=活動電位の発生が増強されることを報告してきた(第41回、第44回本学会)。今回、この神経細胞回路機能の入出力特性の関係性を示すEPSP-Spike (E-S) coupling が評価指標として有効かどうかを検討した。Wistar系妊娠ラットに対してVPA(150, 300 mg/kg)は妊娠15日目に単回経口投与、1-BPは一定蒸気濃度(400, 700 ppm)で妊娠20日間吸入曝露(6時間/日)を行った。VPA曝露仔ラットの生後13-18日、1-BP曝露仔ラットの生後13-15日で海馬スライスを作製し、海馬CA1領域から記録された神経細胞の入力である集合興奮性シナプス後電位(EPSP)と、出力である集合活動電位(PS)によるE-S couplingについて、ロジスティック回帰曲線による解析を行った。その結果、VPA群、1-BP群ともに、今まで報告してきた開眼前における興奮性変化を、E.Slope50値(PSの最大値の50%値が得られるEPSP値)の低下として表現できることが判明した。しかし、発達期の神経細胞応答性にはロジスティック回帰分析に適さない場合もあることも判明しており、現在そのような応答性が出現する頻度と日齢との関連性について検討中である。本研究により、用途や化学構造が異なる化学物質でも、授乳期の海馬神経回路機能のE-S couplingの解析が発達神経毒性の評価指標として有用であることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288056276864
  • NII論文ID
    130007432130
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_o-22
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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