縄文時代の植物のドメスティケーション

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タイトル別名
  • Domestication of plants during the Jomon period
  • ジョウモン ジダイ ノ ショクブツ ノ ドメスティケーション

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抄録

<p>本論文では遺跡から出土したダイズ,アズキ,ヒエ属の種子サイズデータを集成し,縄文時代における形態上のドメスティケーション(種子の大型化)の過程を検討した.ダイズとアズキは6,000年前頃から4,000年前頃にかけて中部高地と関東地方西部地域(諸磯・勝坂式土器文化圏)において出土数が増加し,現在の野生種よりも大型の種子が出現していた.この種子の出土数の増加と大型化は,当時の人口増加と連動していた可能性があり,この時期に形態上のドメスティケーション(種子の大型化)が始まったと考えられる.しかしながら,この時期には小型の種子も依然として見られ,大型の種子をつける品種がまだ定着していなかったか,野生種の採集も継続していた可能性がある.4,000年前以降になると中部高地からは大型種子が見られなくなり,その代わりに九州地方や西日本で見られるようになる.この時期には大型種子の品種が定着し,栽培されていた可能性が高い.ヒエ属についても,東北地方北部で6,000年前頃,北海道渡島半島で4,500年前頃に,時期は異なるものの,同じ円筒式土器文化圏で大型種子が一時的に見られる.この大型化はそれぞれの時期の人口増加と連動しており,この時期に一時的な形態上のドメスティケーションが起きていた可能性があるが,その後は10世紀まで大型種子が見られない.10世紀以降には小型の種子も少なくなることから,この頃にヒエ属の大型種子が定着したと考えられる. </p>

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 57 (4), 109-126, 2018-08-01

    日本第四紀学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (42)*注記

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