病気と障害, そして健康

  • 中村 隆一
    東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Sickness, Disability and Health

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抄録

「病気と障害,そして健康-新しいモデルを求めて」,これは1983年に出版された小冊子の表題である。その内容(表1)を要約し,1970年代から80年代初頭の時代背景,それから現在に至る20年間の「病気,障害,健康」をめぐる主要な論点を紹介する。過去20年を振り返ると,この間の変化はわずかであり,時代の趨勢はゆっくりと推移していることに気づく。現代医療の問題 1983年,わが国は世界一の長寿国であり,21世紀には超高齢社会を迎えること,医療費の膨張がクローズアップされていた。問題の根底には,病気と障害との混同,医療を支える医学が純粋な自然科学となり,人々の受診行動を支配している病(illness)の通俗モデル(folk model)と医師が対象とする疾病(disease)の医学モデル(medical model,疾病モデル:disease model)との乖離があった。通俗モデルでは,病は好ましくないもの,取り除き,正すべきものとして治療の対象になる。そのような価値観や信念から,人々は行動する。医学モデルは疾病の科学的研究を本来の目的とする。治療技術も科学的仮説の検証を経て展開する。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 31 (8), 437-445, 2004-12-20

    日本理学療法士学会

参考文献 (22)*注記

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