虚弱高齢者におけるTimed “Up and Go” Testの臨床的意義

  • 橋立 博幸
    群馬パース学園短期大学理学療法学科 : 群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻理学・作業療法学分野
  • 内山 靖
    群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻理学・作業療法学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Significance of the Timed “Up and Go” Test Relative to Hierarchical Structure of Disorder in the Frail Elderly

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説明

福祉サービスを利用している高齢者を対象に,パフォーマンステストの1つであるTimed “Up and Go” Test(TUG)について,歩行距離と速度指示を異なる計測条件に設定して施行し,検査結果と再現性に及ぼす影響を検討するとともに,その臨床的意義を明らかにすることを目的とした。対象は通所サービスならびに施設入所サービスを利用する高齢者81名(平均年齢80.1 ± 8.5歳)であった。TUGは歩行距離が3mおよび5m,速度指示が至適速度および最大速度の計測条件を組み合わせて,同一日内に2回ずつ実施して再現性を検証した。また,障害の階層構造を示す指標との関連性を比較した。TUGは検査方法が異なった場合に得られる計測値そのものが変化するため,既存の基準値を参照する場合には計測条件を厳密に照合することが必要であった。TUGの再現性は総じて高かったが,至適速度によって計測する場合,歩行距離の延長によって低下する可能性があった。また,TUGは機能的制限,活動制限,参加制約を表すいずれの指標とも相関するが,階層が上がるとともに相関係数が低下したことから,特定の場面で発揮されるパフォーマンスは,加齢,知的機能によって環境因子の影響を受けやすくなり,活動性や社会参加に反映されることが示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 32 (2), 59-65, 2005-04-20

    一般社団法人日本理学療法学会連合

被引用文献 (13)*注記

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参考文献 (19)*注記

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