特異な組織像を呈した混合型胸腺癌の1手術例

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  • A case of combined thymic carcinoma showing various histopathological features

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抄録

<p>症例は52歳男性.2年前の検診にて縦隔から右方に突出する陰影を指摘されていた.今回の検診にて同陰影の増大が認められたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.精査の後,胸腺腫あるいは胸腺癌を疑い手術を施行した.手術は胸腺胸腺腫瘍摘出,心膜合併切除,右肺S8部分切除術を行なった.組織学的には,扁平上皮癌,類基底癌ないしB3型胸腺腫を主体とし,粘表皮癌あるいは腺系分化を伴い,神経内分泌細胞分化を示す成分をも混じており,混合型胸腺癌に相当する像と考えた.腫瘍細胞は心膜へ浸潤しており(pT3,正岡分類III期),術後放射線照射を追加した.術後1年半で左肺S5,S6に転移と考えられる病変を認め,定位放射線治療を施行したところ消失し,術後2年半の現在無再発生存中である.本症例のように多彩な組織所見が混在した胸腺癌の報告は極めて珍しく,胸腺腫瘍細胞の多分化能が示唆される貴重な症例と考えられた.</p>

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