茶ガレート型カテキン類(-)-Epigallocatechin-3-O-gallateを用いた不斉認識

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タイトル別名
  • Chiral Recognition using Tea Gallated Catechins (-)-Epigallocatechin-3-O-gallate

抄録

<p>1.序論</p><p>温かいお茶が冷えると生じる沈殿やにごりはクリーミングダウン現象として、お茶本来の外観や風味を損なうため問題になっている。これまでに当研究室では、茶ガレート型カテキン類 (-)-Epigallocatechin-3-O-gallate (EGCg)とカフェインの水溶液から得られるクリーミングダウン現象による沈殿を結晶化し、X線結晶構造解析を行うことによりその立体化学構造および分子間相互作用の解析をしてきた。その結果、この現象は2分子のEGCgの芳香環(A、B、B’環)により形成される疎水性空間に1分子のカフェインを取り込むことにより生じることを明らかにしている(Fig. 1a)。1 ここで、この疎水性空間はEGCgのC2とC3が不斉炭素であることから、不斉空間となりキラル化合物を取り込んだ場合、その不斉を認識することが考えられる(Fig. 1b)。そこでまず、カフェインと同程度の分子サイズのキラル化合物であるジケトピペラジンCyclo(Pro-Gly)に注目し、EGCgによる不斉認識について調べた。さらに、その結果を踏まえて通常ラセミ体で用いられている交感神経β受容体遮断薬プロプラノロールのEGCgによる不斉認識について検討した(Fig. 1c)。</p><p>2.水溶液中におけるEGCgによるジケトピペラジンCyclo(Pro-Gly)の不斉認識2</p><p>Cyclo(L-Pro-Gly)、Cyclo(D-Pro-Gly)の重水溶液にそれぞれ等モル量のEGCgの重水溶液を加え1H NMRスペクトルを測定したところ、EGCg存在下ですべてのプロトンシグナルはブロード化していた(Fig. 2)。その際、Cyclo(L-Pro-Gly)とCyclo(D-Pro-Gly)はいずれも単独時に比べてプロリン残基の不斉炭素に結合しているH9メチンプロトンシグナルが0.2 ppm以上高磁場シフトしている。それ対して、グリシン残基のHメチレンプロトンシグナルは0.1 ppm以上低磁場シフトしていた。さらに、プロリン残基のHおよびH、Hプロトンシグナルはいずれも高磁場シフトしているが、Cyclo(L-Pro-Gly)ではシフト値が0.087ppmと0.065ppmであるのに対して、Cyclo(D-Pro-Gly)では0.118ppmと0.113ppm であり、Cyclo(L-Pro-Gly)より</p><p> </p><p>Cyclo(D-Pro-Gly)の方が大きく高磁場シフトしていた。</p><p>このようにCyclo(L-Pro-Gly) とCyclo(D-Pro-Gly) で化学シフトの高磁場シフト値が異なることから、EGCgはCyclo(Pro-Gly)の不斉認識をしていると考えられる。</p><p> </p><p>3.EGCg・ジケトピペラジンCyclo(Pro-Gly)錯体の立体化学構造</p><p>等モルのEGCgとCyclo(L-Pro-Gly)を90℃で水に溶かし、10℃で1日放置すると無色のブロック状結晶が得られた。EGCgとCyclo(D-Pro-Gly)についても同様の操作を行うことにより無色のブロック状結晶が得られた。X線結晶構造解析を行ったところ、これら2つの結晶は2:2 EGCg・Cyclo(L-Pro-Gly)錯体と2:2 EGCg・Cyclo(D-Pro-Gly)錯体であった(Fig. 3)。また、これらの錯体はEGCg・カフェイン錯体と同様に、EG</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288073383424
  • NII論文ID
    130007494687
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.57.0_posterp39
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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